Wednesday, July 30, 2008

『初・温泉旅館お泊り』の巻 その弐

朝食の後、浴衣のすそがはだけないように気にしながら、歩幅を狭くしてあなたの後ろを歩いた。 「小鳥みたいについていってるの」って私が言うとあなたは、「オレについてくれば大丈夫だよ」って言った。 きっとテキトーに言ったに違いないけど、私の頭の中には、ふたりの未来図がボワンって浮かんできちゃって、朝からドーンと感動。 それを悟られないように、顎が震えるくらいの多幸感を抑えながら、静かに、「うん」って頷いた。

部屋に戻った後は、しばし食後の休憩。 「食べた後、すぐ横になったら『牛』になるよ」って、よく母が言ってたことを思い出す。 あー、『牛』で結構! もうすでに、いつも、「もー もー」言ってますから!! 目を閉じて、これから始まる1日の予定を考えているだろうあなたは、まるでお祈りをしてる修道士のよう。 気軽に声をかけられない私は、あなたの左腕をそっと抱きしめ、呼吸に意識を集中しながら、あなたの『祈り』が終わるのを待った。

「じゃーそろそろ帰る準備しよっか」ってあなたが現世に戻ってきたような顔で言った。 私は、またもや、お約束どおりに、「いやーん」って言って、それを聞いたあなたは、「えっとー」って困惑したような声を出した。 混沌とした空気は私たちには似合わない。 よし!と思いついて、あなたに掛け布団をバサっとかける私。 「お人形はずっとこのままここにいてね」って私がいうと、「仕事に行くんじゃないし。 これからまだ一緒にいられるんだし。」ってあなたは言って、そして、相変わらずの、おびえたような顔になった。 これって、お決まりだけど、面白いシナリオだわ。 


私が化粧をしてると、あなたは、「いい?」って言いながら、洗面所に入ってきて、私が、「どうぞ」っていうと、あなたは歯磨きを始めた。 もちろん、それを放っておくわけもない私は、あなたの背中に寄り添いながら、マスカラをつけ始めた。 あなたは、「目に入ったら危ないだろ」って冷や冷や顔。 私は、「大丈夫よ」って言いながら、あなたの背中に、さらに強くカラダを押し付けた。 だって、一緒にいられる時間の1分1秒も無駄にしたくないんだもの。 分かってるくせに。 


帰りの車の中、家に近づくごとに口数が少なくなる私。 スーパーポジティブな私が唯一ネガティブになるのはいつも、あなたと離れ離れになっちゃう瞬間。 もちろんすぐ会える(だろう)けど、寂しくて、寂しくて・・・。 「もー もー」って、また『牛』登場。

Tuesday, July 29, 2008

『初・温泉旅館お泊り』の巻 その壱



週末だし、夏休みだし、予約なしで泊まれるところなんてないかもって覚悟してたのに、あった、あった、ありました! やっぱり私たちは運がいい。 ふたりでいると、everything's alright だわ。  

部屋に入ると、約10畳の和室+床の間+窓側にテーブル&椅子のスペースがあって、トイレ+バスルームもついてる。 仲居さんが施設説明をしてくれる。 潮風でベタベタした肌が、「早くお風呂に入ろうよー」って訴えていたから、仲居さんが消えるとすぐにあなたは、「じゃー、まず風呂に入って、それからご飯ね」って言った。 そして私は、同じ気持ちなんだけど、お約束どおりに、「あーん、お風呂で離れ離れになっちゃうー」って泣きべそ。 

「じゃー40分後にね」って言ってあなたは男湯へ、そして私はあなたについていきたい気持ちを必死に押さえて女湯へ。 ネットリした汗をスッキリ洗い流して、潮風でもたついた髪をジャブジャブ洗って、リセットしたカラダで湯船にチャプン。 肩まですっぽり浸かりながら、『お風呂を出た後』のことを考える私。 

スッピンの顔は今まで何万回も見てるはずだけど、でもやっぱり眉毛はかいたほうがいいのかな。 これからご飯食べるし、公共の場だから薄化粧したほうがいいのかな。 だって、「えー、こんな変な女連れてて恥ずかしくないのかよー」ってあなたが他の人に思われたらかわいそうだし。 あーどーしよー。 頭の中がグチャグチャしてきた。 なんか、のぼせそう。

結局、化粧はしないことにして、でも髪の毛はちゃんと乾かして、ちょこっとだけフェラガモの香水をふりかけて、待ち合わせの場所へ向かうと、あなたはもうビールを飲んでた。 浴衣姿のあなたを見るのは初めて。 あー萌えるー。 素敵、素敵。 浴衣姿もいい。 あーなんでこんなに好きなの。 なんでこんなに、あれもこれもそれもどれも、何ももかもが素敵なのかしら。 

浴衣の裾がはだけないように、いつもより歩幅を狭くして歩く。 いつもよりずっと、あなたの後ろを歩く。 あー、これぞ、『日本女性』って感じ。 三歩下がって影を踏まないってこういうことね。 きゃー、私だってやればできるじゃない! 

部屋に戻ると、お布団が2つセットされてる。 あぁ、『隠微』って、こういうことね、と悦に入ったのは一瞬。 いやーん、20センチくらい離れてるじゃないのーっ!!! よいしょ、よいしょ。 あなたと私のお布団をピッタリくっつけて、ひと安心。 だって、私とあなたが離れて寝るなんて、あり得ないもの。

そんな私の心の動きにはお構いなしに、あなたは軽いトーンで、「じゃーご飯、行こうか」って言った。 私は、「はーい」って元気よく返事したけど、ホントは、ガクっ。 お腹はぺこぺこだったけど、もうちょっとお部屋でまったりしたかった。 心の中でこっそり、「チッ!」って舌打ちしたりして、まだまだ修行が足りない私。 
「そんな、あんた、焦んなさんなー」って逸る心を鎮めながら、あなたの大きな背中に神経を集中して、淑やかな日本女性風に、あなたの少し後ろを歩きながら、部屋を後にした。 

ああ、いつも幸せって思うけど、今日はまた格別、幸せ。 ありえないくらい満ち足りた気分だわ。 あなたに、ありがとう。 (って、車の中でもSMAPの『ありがとう』って聞いたなー♪)

Monday, July 28, 2008

Let's Go For A Drive!



「ドライブでもいこうか?」って、あなたからの突然のメール。 もちろん私は、「嬉しいー! 行きたいー!」 

初めてのドライブ。 あまりにもドキドキしすぎちゃって、(狭い)部屋の中を行ったりきたり。 あ、でも、あなたが迎えにくるまでは2時間しかないじゃない! 何を着ていこう、何を持っていこう。 鏡の前で何度も着替えて、髪の毛を何度も直して、何度も靴を履き替えて、あなたの到着を今か今かと待つ私。

あなたの車を見るのはもちろん初めて。 あなたの運転する姿を見るのもちろん初めて。 トキメキが止まらない。 コドモみたいに愛車の解説をするあなたを見つめながら、愛しさが止まらない。 
 
「どこに行くか決めてないんだよね」っていうあなた。 もちろんどこでもOKだよー。 だって一緒にいられるんだもの。 嬉しさを通りこして、涙が滲んじゃう。

BGMはノリノリで行こう。 歌いながら行こう。 第三京浜から入って、東名へ。 西に向かうごとに空が明るくなる。 サンルーフから差し込む日差しが素肌をジリジリ焼いていく。 

途中のサービスエリアで喫煙タイム。 Tシャツの背中に汗をいっぱいかいてるあなたは、「シートが皮だからね」って笑った。 湿ったTシャツをちょっと触ったら、それだけじゃもの足りなくなってしまって、Tシャツの下に手を入れて、あなたの汗の滴を手ですくった。 「素敵!」って私が言うとあなたは、「なんだそれ?」って、いつも私の不可解な言動に困った時にそうするように、顔をくしゃってして笑った。

西へ、西へ。 とにかく西へ。 私たちは、どこ行くあてもないまま、東名をグングン走った。 

海が見えてくる。 夏の、エメラルドグリーンの、穏やかな水面。 「凪って言うんだよ」ってあなたが言った。 やっと長い梅雨が明けて、待ちに待った夏がやってきたのね。

好きな曲ばかりを集めたMDを聞きながらあなたは、「あ、次もオレの曲」って言って、「あーもう連続で歌うのって失礼ー」って私が叫んで、まるで車内はカラオケルーム。

「このまま九州まで走れるなー」って言うあなたの横顔をチラッと盗み見しながら私は、「あなたと一緒だったら九州までも、その先までもずっとずっと、地球の果てまででも、いけるのになぁ」って思いながら、コッソリ笑った。 

(だって口に出したら、また、「怖い」って言われちゃうもの)

Sunday, July 27, 2008

「もー もー」

彼が御殿場アウトレットにつれていってくれた。 

気楽に有名店に出たり入ったりできるのはサイコー。  彼と手をつないで歩けるのはもっとサイコー。 

男性用靴屋さんの前を通ったとき、 ショーウインドウにズラッと並んだ皮でできた「牛」の置物を発見。  張り紙には、「牛」の商品説明があった。 靴を作るときにあまってしまう皮の再利用として、 この「牛」たちが誕生したらしい。 

見出しにはなんと、「もー もー」って書いてあるっ!  「もー もー」って泣くのは、今時、私か「牛」かっていうくらいだから、ああ、これはまさしく運命的な出会い。  これが部屋にあれば、私が、「もー もー」って泣いて、彼が、「あ、牛がいる」って言ったら、「あ、ホントだ」って「牛」を指差して、それからまた、心おきなく、「もー もー」って泣けるわ!!  そう思いながら見つめていたら、彼が、「欲しい?」って聞いてくれた。 私の顔には、大きな文字で、「欲しい」って書いてあったのね、きっと。

もー もー(うれし泣き) 
運命の出会いをした「牛」をゲットしたのはもちろん嬉しいんだけど、それを彼がプレゼントしてくれたっていうことがものすごく嬉しいわ。


牛のつがい

Friday, July 25, 2008

Let's Surf Together!!

冷え冷えとした部屋で寝ることに慣れてる私。 そんな私の部屋に入った瞬間、彼は、「寒いよ」っていう。 彼じゃない人に対してだったら、「おまえが耐えろよ」って思うけど、彼だからツライ。 彼が、「寒い、寒い」って言いながら布団に包まる姿を見ると胸が痛くなるので、クーラーを消して寝る。

でも、からだに熱がこもってつらい。そのうちに汗が吹き出してくる。 暑い、暑い。ダメだ、ダメだ。 (大げさねぇ)

なかなか寝つけなくて、もう限界だと思ったころ、彼が目覚めて、と同時に、クーラーのスイッチを入れてくれた。 ありがとう。 寒くなっちゃうのに、ごめんね。

こういう小さな違いを、ひとつふたつクリアーしたして、また少し近づいていく。 
このままずっとこうやって、いつまでも一緒に、人生の大波小波をスイスイと乗り越えていきたいなぁ。 格好よくしぶきあげてね。 

Thursday, July 24, 2008

(一応)ダイエットしてます!

同僚Kちゃんの影響で、ヤフーダイエットを始めて1週間が経った。 

食べたものを書き出すダイアリーをつけてるけど、「食べすぎた!」という自覚や反省のないまま毎日が過ぎてく・・・。 ランチのパスタを大盛りにしたり、ご飯をおかわりしたり、パスタ+パンなんていう炭水化物オン炭水化物をしてたり、毎晩アルコールを飲んでいたり。でも、「ダイエットしてる!」と公言して、ダイアリーをつけることで、もう十分満足、なんだか痩せた気もする。  

1週間が終わると、下記のように、『先生』からありがたいお言葉がいただけるシステム! 気が引き締まり、益々ダイエットに励む予定! なんだけど、こんな調子で、ホント、大丈夫なのかな???(いやーダメでしょう!!)

↓ ↓ ↓ ↓ ↓

ダイエットするためにもっとも気をつけなければいけないのが食事内容です。 carrieさんが1週目に食べた食品とダイエットが、どのように関係しているのかを見ていきましょう。

■きのこ・海藻が不足しています
海藻であるわかめはヨウ素、カルシウム、カリウムなどを含むミネラルの宝庫です。ヨウ素は代謝を活発にするため、体のエネルギーを発散してくれます。運動をする習慣があったほうがよいのはもちろんですが、代謝をアップさせるための食事にも気を遣うことができると、より効率良くダイエットができることでしょう。

■取り過ぎている食品群はありません
ダイエット中は、ご飯やめんなどの炭水化物とお肉類を過剰に取り過ぎることは注意した方がよいですが、ここしばらくは取り過ぎることなく過ごせましたね。この調子でいきましょう。

■食事のバランスを意識しましょう
食事日記をつけることが習慣になってくると自然と食べ過ぎているものや栄養バランスの偏りがわかってくると思いますので、この結果にあまりがっかりせずに、しばらく続けて記入してみてください。何となく体が軽くて調子も良いなと思った日の食事日記をお手本にするようにして、食生活の改善をしていくようにすると良いでしょう。食生活改善の第一歩としてなるべくたくさんの野菜を食事の中に取り入れることを心がけてみましょう。

■お酒を摂ってしまいました
ダイエット中、お酒は厳禁です。アルコール類を摂取すると肝臓への負担が増加し、ほかの食べ物の脂肪分解が妨げられます。その結果、飲まないときに比べて、食べた物を消化せずに、脂肪としてため込みやすくなります。ダイエット中のお酒は健康的にやせたいと願うのであれば、「絶対にNGである。」ということを忘れないようにしてください。

毎日の食事に気を配りながら、今週はより良い食事ができるようがんばってください。

Wednesday, July 23, 2008

夏の怪談

化粧をして、着替えを終えた後
「帰ってきても、このままベッドにいてね。」って彼の頬にキスすると
「こわいよ。 オカルトだよ。」って彼は子供のように怯えた顔をした。

だって、大切なお人形なんだもの。 
どこにもいかないでね。
他の人に触られたくないんだもの。
キレイなお姉さんにさらわれたりしたらイヤ。
ずっとこのままベッドのなかにいて。
ね、いいでしょう。

鍵を持って、出かける寸前の私の背中に向かって
「仕事頑張ってね。 オレの分もね。」って彼は仕返しのつもりで言って
私が怯えるのを期待した顔をした。 でも私は・・・

うん、頑張る。 
そうだ、パトロンを5人くらい集めればいいんだ。
ひとりにつき、月に3回くらい会って
ひとりにつき、お手当てを月に15万くらいもらって。 
ほら、そしたら、今の仕事のお給料もあるし
2人で余裕で生活できるでしょ。

そんな非現実的な計画を口にだしたら、きっと彼は
「こわいよ。 オカルトだよ。」って怯えるから、グッとこらえて
もう一度彼の頬にキスをして、そのままサクっと家をでた。

あぁ、『男に貢いじゃう女』ってこういう感じなのかなぁ。
なんか、わかるような気がするなぁ。

「こわいよ。 オカルトだよ。」
駅までの道、何度も何度も繰り返しながら、自分を戒めた私。

Saturday, July 19, 2008

The Rainy Season Has Gone Yet?
- It's time to...dance, dance, and dance!! -



Event: "Odora-Night Vol. 26"
Date/Time: August 1, 2300- ALL NIGHT!!
Place: T's-D, Azabu Ju-ban (http://r.gnavi.co.jp/g801400/)
Fee: JPY 2,500 w/ 1 drink

You'll get a DJ TAKUYA MIX "ODORANIGHT CD" as a gift!

For more info., pls. check out the website: http://odora-night.com/

Thursday, July 17, 2008

インド宿曜占星術

関係ない!と思いながら、どうしても耳を傾けてしまうダメな私・・・。 言われてみればなんとなく当たっているような・・・。

インド宿曜占星術


大好きな彼との相性占いはこちら。
↓ ↓ ↓

<恋愛>
お互いに傷つきながらも、結ばれようとしますが、3年もしくは7,8年で別離が待っています。 かなり傷つけられることを覚悟してください。 よほど相手を立て、努力し、譲り合わない限り難しい関係です。 辛抱強さが大きなポイントです。

<友達>
些細なことで壊れてしまいやすい相性です。 なぜか二人でいると周囲がありもしないことを言いふらす予感が。 相手との関係を少しでも長続きさせたいのなら、無責任な噂などに惑わされず、信じてあげることが重要です。

Wednesday, July 16, 2008

天麗美人占い

Yahoo! Japan BEAUTYにあった 
天麗美人占い。 (暇なときに)ぜひお試しくださいませ。 それにしても・・・女子って占い好きだよねぇ。

私の結果はこちら
↓ ↓ ↓
宝美人
中心の気: 金
オーラの気: 土 引力オーラ
宝美人の有名人:杉本彩、押切もえ

<<宝美人の基本性格>>

オーラの気が「土」で、中心の気が「金」である「宝美人」の本能に眠っているのは、「土の中で育まれた金、宝石」。親しみやすい雰囲気を持ちながらも、本質的には革新的な面を備えています。磨くほどに輝きを増す金のように、将来的には必ず光り輝く運命の持ち主。頭の回転が速く、鋭い感性を持ちながらも忍耐力と持続性があり、コツコツと堅実な努力を重ねてこそ、頭角を現す人なのです。

「宝美人」が持つ最大の武器は、現実を冷静に直視できるところ。物事の合理化を図るのも得意ですし、自分はさほど動かずに、周囲の人を効率よく動かす力を持っています。自らは火中に入らずドンと構えたまま、相手の長所を客観的に判断して、上手に引き出してあげられるのです。しかも、柔軟に気を配ることができるので、職場でも信頼を寄せられ、頼りにされるでしょう。しかし、自分の根性や能力を過信して、「この程度のことができないわけはない」と思い込んだり、相手にまでそれを求めてしまわないように気をつけましょう。強すぎる自尊心や責任感は、損となるのでほどほどに。

自分のペースで安定したポジションを獲得するのが上手で、安定できる環境を目指して行動を起こすのですが、いったん安定にあぐらをかくと、停滞気味の人生になります。いい援助者、ブレーンによって丁寧に磨かれることで、より輝いて開運するのが「宝美人」。逆にいえば、人に恵まれないと才能が埋もれてしまう危険性もあります。いかに若いころから目上の人や引き立ててくれる人に恵まれ、手をかけてもらえるかに、人生の勝負がかかっているのです。

開運のためには、人脈を広げ、数多くの出会いの場へ積極的に出かけることが必要。人とのいい出会いによって人生が大きく変わるので、人を見極める目と、人の話に耳を傾ける柔軟性を養いましょう。常に磨かれる環境に身を置くことで、運が強化されます。

Tuesday, July 15, 2008

合鍵

家の電話が鳴る音で目が覚めた。時計をみると23時半。 枕の下に忍ばせてある携帯電話の着信履歴を確認すると、彼からの電話が数件。 と同時に携帯電話が鳴った。 

「今から行ってもいい?」と彼。 普段なら迷わずオッケーなのに、一瞬のためらい。 明日からの一週間、スケジュールがタイトなんだよなぁ・・・朝、絶対にバタバタするよなぁ・・・面接とかあるし、遅刻はできないよなぁ・・・朝ダラも無理だよなぁ・・・「ダメ? 迷惑?」と言ういう彼に、「迷惑じゃないけど・・・」と私。 私のためらいが彼に伝わってしまった。 

「じゃ、いいや。 会いたくないみたいだから。」 そういうと彼は電話の向こうで、「運転手さん、渋谷に向かってください」と言った。 「会いたくないとかじゃないけど・・・」 私が口ごもっていると、明らかに苛立ちの滲んだ声で彼は、「じゃ、まあそういうことで。 遅くにごめんね。」と電話を切った。 

そういうんじゃないのに・・・会いたいのに・・・ただ一瞬迷っただけなのに・・・「迷惑じゃないし、いつも大丈夫だし。 考えなおして今こっちに向かっているといいけど。 待ってるね。」急いでそうメールを打つとすぐに返信が届いた。 「夜遅くにごめんね。 (旅行で)疲れてるもんね。 ゆっくり休んでね。 おやすみ。」 

あぁ、胸が痛い。 おかしくなってしまった流れを変えようと、何度か「会いたい」とメールを送ったけど、彼からの返事がない。 胸がきゅーんとしめつけられる。 吐き気がしてきた。 「なーんて冗談。 今から行くね。」というメールを今か今かと待つ私。 でもいっこうにそんなメールは届きそうにない。 胃がキリキリする。 お腹まで痛くなってきた。 

15分後、やっと届いた返信は、「渋谷の寿司屋で一人で飲んでます。 また今度行くね。 おやすみ。」 もー! もー! もー! もー!  屠殺場に送られる牛みたいに、悲痛な声で泣きながら、ベッドの中でジタバタする私。 

どうにかしなくちゃ。 このまま朝になってしまうのはイヤ。 仕事と恋愛を天秤にかけたことなんて今まで一度もないし、もし天秤にかけたとしても、仕事のほうが恋愛よりも重いなんてこと、私に限って絶対にないし。 オフィスに私の代わりになる人はたくさんいるけど、私には彼しかいないんだもの。 私はエイヤっと心を決めた。 よし、私が会いに行こう。

洗ったばかりの髪の毛を乾かし、歯を磨いていたら、彼から電話。「え? ホントにくるの?」という彼に、「うん、行くよ。 もしかして来てほしくないの? 女の子と一緒だから? 会いたくないの? イヤなの?」 と今度は私が質問攻め。 私があまりにもしつこく、「ホントはひとりじゃないんだ? 女の子と一緒なんだ?」と言うので、彼は板前さんに電話を渡した。 「大丈夫ですよ。 おひとりですよ。」 見ず知らずの板前さんにそうなだめられて、なぜかその言葉を信じちゃったりして、私って単純。 少しだけ安心した声の私に彼は、「じゃ、今からいくよ」と言った。

いつもは一緒に家を出るのに、今朝は彼を残して部屋を出た。 鍵を渡さなければ家から出られなくてずっと部屋の中にいてくれるかしら? 家に帰ったら、今朝見たままの状態で、ベッドにいるのかしら? 一瞬巡ったそんな想いをシャシャっと振り払い、テーブルに合鍵を静かに置いた。 

合鍵を渡すってことは、私にとっては(誰にとっても?)かなり大きな決断。 だって、他の男の子を家に連れ込むことは絶対にありえないっていう決意だし、朝昼晩の区別なく、いつでも来ていいよっていう24/7の招待状だし。 これで彼は、私が爆睡している夜も、何百回も電話で起こす努力をすることなく、部屋に入れるのね。 私にとってはものすごく大きなステップだったんだけど、もしかしたら彼はそんなことはちっとも分かってなくて、次回会った時にサラっと、「鍵ありがとう。 返すね。」なんて言ったりして・・・。 

合鍵、いつまでもずっと持っていてね。

Wednesday, July 09, 2008

Finally I Got My "First (& Last?)" Tattoo!

予約していた19時に、Tattoo Art Maruyama へ。

目黒通り沿いにあるフツウのマンションにスタジオはあった。 オートロックの入り口を開けてもらい、エレベーターで2階へ。 角部屋のドアの前でベルを鳴らすと、中から「どうぞ」という声。 ドアを開けると、フツウのマンションの玄関に彫師が現れた。 Tシャツと半パン。 腕と足にはタトゥーが入っているが、強面ではなく、霊能者の江原さんみたいな優しい印象。 スリッパをすすめられ、部屋の奥へ。 

1LDKの間取り。 入って左柄にキッチン&ダイニングがあり、その向かいにリビング。 キッチンのシンクの上には本棚があって、タトゥー関連の本らしきものがぎっしり詰まっていた。 ガスコンロの上にはケトルが1つ。 生活感があるようでないようであるようでないようである、そんな不思議なキッチン。 「そこにかけてください」 そうすすめられたのは、リビングの端にある黄色の2人掛けのソファー。 リビングの中央には診察台がある。 リビングの壁2面に窓があるが、それは暗室のカーテンのようなものでさえぎられていて、外は見えないようになっている。 照明は・・・フツウの蛍光灯。 BGMは・・・吉田照美のラジオ。 怪しい照明、怪しい音楽を想像していただけに、逆にちょっと安心した。 

彫師はキッチン&ダイニングにおいてあるPCの前に座り、何かをプリントアウトした。 よく見ると先日送ったサンプルを元に、少々手を加えたデザイン画。 私に手渡し、「どうですか?」と聞く。 イメージよりシャープな感じ、よりタトゥーっぽい感じ。 「OKです」と私が言うと、「これを記入してください」と、病院の待合室で記入するようなボードを差し出した。 よく見ると誓約書。 当たり前のことが書いてある中、「刺青は一生消えないと理解している」みたいな行が目に留まった。 誓約書の内容を納得した上で、必要事項(名前、住所、電話番号、メールアドレス、簡単なアンケート)を記入し、ハンコがなかったので拇印を押して、彫師に渡した。 黙ってそれを受け取ると、彫師はセッティングに取り掛かる。 私が今か今かとソワソワしているのを見て、「まだしばらくかかるので・・・」と言い、隣の部屋へ消えた。 しばらくして、戻ってくると、タバコに火をつけ、PCの画面を見つめながら、しばし喫煙タイム。 どうやらかなり無口な人らしい。

診察台にタオルをしき、その上にサランサップ、そして
上下に3本、テープで固定する。 枕にバスタオルを巻いてセット。 「立った状態で、入れる位置を決めます」 そういって彫師は、私の右足の内側、くるぶしの上を消毒をして、その上にアメリカ製のデオドラントを塗る (スティッキーだから糊の代わりね)  その上に半紙のような、クッキングペーパーのような、デザインを小さくカットしたものを、乗せた。 足に貼り付け、そしてはがすと、デザイン画が足に写る仕組み。 (アップリケみたいなものね)

「じゃ、頭をこちら側に向けて、右を向いて寝てください」 彫師に言われたとおり、診察台の上に横になる。 「あのー、痛いですか? 友達が入れるのを見たことはあるんですけど、かなり痛がっていたので・・・どれくらいかかります? やっぱりかなり痛いんですか?」 不安な声に私に彫師は、「比較になる痛みが思いつかないなぁ。 20分くらいで終わるから。 どんな痛みかは・・・もうすぐ分かるよ」 と言って静かに笑った。 欲しい答えがもらえなくてつい私は、「えー?」と切ない声を上げてしまった。

「じゃ、始めます」 彫師が椅子に腰掛ける。 壁にかかった時計を見ると19時40分。 ゴクっと唾を飲み込み、カラダに力を入れた。 彫師は、彫り始めてすぐ、「大丈夫?」と声をかけてくれた。 「大丈夫です」と私が答えると、黙ってまた彫り始める。 5分後くらいにまた、「大丈夫?」と聞き、私が「大丈夫です」と答えると、その後は無言で彫り続けた。 最初は1秒彫って、一瞬休み、そのうち彫る時間が2秒、3秒と長くなり、最後は5秒くらい彫って、一瞬休み。 

痛みは・・・痛いといえば痛い。 でも我慢ができないほどではない。 どんな痛みかというと・・・彫刻刀で肌を切り裂かれる感じ、というと大げさだけど、他に表現のしようがない。 骨の上に差し掛かると特に響いて痛い。 きゅんって胃まで痛みが届く場所もあれば、皮膚の上を引掻いてるだけのような痛みのところもある。 彫り始めよりも終盤に向かうほど痛みが大きくなるような気がする。 というか、痛みに慣れることなんてないから、痛みに痛みが重なって、痛くなる、ような気がする。 時計を見つめながら、痛みに耐える方法を考える。 ヨガの呼吸をしてみる。 吸うより吐く呼吸のほうが痛みが和らぐような気がする。 つい力が入ってしまっていることに気がつくたび、軽く頭の位置を変えたり、腕の位置を変えたりしながらリラックスを心がけるが、痛みがなくなることはない。 ああ、なんか初体験のときの痛みに耐える感じ。 早く終わらないかなと冷静に考えていたときのことを思い出す。 感覚としては何故か似てるなぁ、なんてぼんやり思った。

20時05分に彫師の手が止まる。 「5分くらい休んで、写真を撮って、薬を塗って終わりです」 彫師はそういってまたPCの前に移動し、タバコに火をつけた。  私は、診察台の上に起き上がり、入れたばかりのタトゥーを眺める。 キレイなもんだなぁ、としばしウットリ。 自分の肌にクッキリと刻み込まれたアルファベットを眺めながら、感無量。

2、3分休んだ後、彫師はカメラを持って近づいた。 無言で2枚写真をとり、そして局部を消毒し、軟膏を塗って、その上から、サランラップを巻いて、半透明のテープで止めた。 「恥ずかしいかもしれないけど、これが一番効くんで・・・」そういって、ボラギノールA軟膏のチューブを見せてくれた。 アメリカでもイギリスでもどうやら痔の薬が一番効くということで薦めているらしい。 「痔の薬には、化膿止めとか、痛み止めとか、かゆみ止めとか、いろいろ入っていて、彫った後の症状の緩和には一番適してる」  「分かりました、薬局で買って帰ります」と私。

彫師が手当ての方法を口頭で説明してくれる。 そしてさらに詳しいアフターケアの方法を書いた紙をくれた。 料金は2万1千円。 代金を手渡すとき、彫師が合掌した姿が印象的だった。

しばらくは湯船につかることはできない。 そして1日2回、ボラギノールを摺りこむ毎日。 掻いたりするのはNG。 1年くらいは日焼けは厳禁。 

帰り際、参考までにと彫師に質問した。 腕1本に入れるとすると大体30万くらいかかるそう。 時間にして12時間くらい。 背中1枚だと、料金はさずがに聞けなかったが、時間にして30時間ほど。 1回に彫るのは大体3時間くらいだというから、すさまじい。 私なんて20分くらいでいっぱいいっぱいなのに、3時間ぶっ通しで痛みに耐えるだなんて・・・「気合」を見せたい人にしか出来ない業だ。 

終わってしまえば痛みはほとんどない。 ただなんとなく違和感があって、それをかばうためについ不自然な歩き方になってしまう。 入れたばかりのタトゥーはパンツに隠されて誰にも見えない。 秘密を抱えているという感じがいい。 痛みに耐えたという達成感と、念願のタトゥーを入れたという充足感がいい。 そしてなにより、大好きな彼のイニシャルが入ったという多幸感がたまらない。


My First Tattoo

Tuesday, July 08, 2008

AB型 自分の説明書



本屋で立ち読みして、周囲にかまわず大笑いした本。 妹も大好きな彼も仲良くしてる友達もAB型が多いので、思わず買ってしまった。 すごい、すごい。 読んでると、他人ごととは思えない。 「几帳面なA型」だと思って生きてきたけど、ひえーっ、私、全然AB型じゃーんって思ったりして。

だってね・・・

□自動的にお世辞がでる。 
□オートで笑顔が出る。
□というか、その時々の対応は全自動設定。
□あー、この場合なんて答えたらいいんだろ? なんて考えない。 ナチュラルに出す。 出る。
□「順番どおりで確実」よりも「早くて確実」を選ぶ。
□とにかく要領よく進めたい。 手っ取り早いけど、抜かりなくね。
□なんでも合理的。 なんでかそうなっちゃう。
□そのせいで、「わがまま」全開になる。
□貧乏くじを引いても恨んだりしない。
□すぐ忘れちゃうから。
□ずるいことをする。
□し、自分でも「ああ、やりますなぁ」って思う。
□そんで「いい人」のポジションを狙っていいことをしようとは思わない。
□いいことをしてあげるのは無償で。
□だから偽善はキラーイ。 やらないし、そんなもんいらなーい。
□ボーッとしてると死ぬ。 ような気がする。
□だから何かいつも動いてる。 何かしてる。
□分からない性格って言われる。
□でもその理由のほうがわかんないよって思う。
□ものすんごく分かりやすいのにーと思ってる。
□だっていつも自然体だから。

・・・って、軽くこんな感じですが、その先も大笑いなので、ぜひお読みくださいませ。

Monday, July 07, 2008

Faithful



あの日、彼に関する「悪い噂」を聞いたとき、そんなの全くのデマだと思う気持ちが99%、でも残りの1%は、「もしかして?」って疑ってしまった。 あれから2ヶ月、やっとのことで、「悪い噂」のことも忘れかけてきた昨日また、「悪い噂」が鮮明に蘇ってきた。 なんとか必死に保っていた疑いのパーセンテージが一気に上昇してしまった。

一晩中考えてた。 なんでこういう心の動きになってしまうんだろう。 なんで信じきれないんだろう。 そしてふと思った。 もしかして、私が疑わしいから、彼も疑わしいと思ってしまうんじゃないかな。 過去のUnfaithfulな経験が、次から次へと流れては消えていく。 彼の前の彼、その前の彼、その前の前の彼・・・ずっと辿っていっても、私はいつも浮気者。 浮気をしなかったことなんてないし、それでいいと思ってきた。 でも彼に会って、もうそういうのはイヤだって思った。   

いつも好きな人を信じていたいし、周囲の全てに感謝して生きていきたいし、いつも平安に包まれて幸せな気分でいたい。 だから、怖いけど、リスキーだけど、いい年してバカバカしいけど、これからも日々Faithfulでいるように努力しようと決意を新たにした私。 

悪い噂

Wednesday, July 02, 2008

牛のつがい

Because Of You by Ne-Yo <--- Honey, this has to be our song!


あなたが私から離れる瞬間、私はいつも悲しくて、「も~」って泣く。 そのたびにあなたは、「あ、牛がいる」って言う。  私は、それで悲しさが和らいで、つい笑ってしまって、そのうちに嬉しくて仕方なくなって、またあなたに、「あ、牛がいる」って言ってもらいたくて、「も~」って泣く。

オフィシャルなイベントの翌朝、出かける前のあなたは窓を開けて高温高湿の外気を確認して、そして、ジャケットを着てきたことを思い出して、「も~」って泣いた。 「あ、牛がいる」って私が言うと、あなたは恥ずかしそうに笑いながら、ジャケットを羽織った。 

「私たち、牛のつがいね」 って私は嬉しくなって、あなたを抱きしめながら、「も~」って泣いた。 
四六時中

あなたがバスルームに消えていってしまうと心細くて寂しくて仕方ないから、後ろからついていく。 歯磨きをしてるあなたの背中にピタっと張りついたり、髭をそるあなたの足を触ったりしながら、あなたが一瞬でも私を忘れないように、「わたしはココよ♪」ってアピールする私。 これって典型的な「ウザイ女」のすることねと思いながらも、自分の四肢を押さえられない私。  

あなたが移動するたびあちこちついていく私をあなたは不思議そうに見つめる。 「小鳥なの」っていうと、よりいっそう不思議そうな顔。 「親鳥について行く小鳥です」っていうとようやく、「ああ」って納得した表情になった。
 
一緒にいられる時間は限られてるんだし、離れている1分、2分も「塵も積もれば山となる」んだし、ちょっとの時間も無駄にしたくないんだもの。 さすがにトイレに行くときは我慢してるけど、もしあなたがOKって言ったらついていっちゃうわ。 


も~っ、だって~っ、四六時中一緒にいたいんだもの。

四六時中(しろくじちゅう)の意味
もともと「二六時中」といわれていた。  「二六時中」は、1日の時間を「子の刻」「丑の刻」など、干支の12刻であらわしていた江戸時代の使われ方で、 2x6=12となるため、1日中を意味していた。 「四六時中」は、「二六時中」を現代の1日の時間(24時間)に合わせ、4x6=24時間としたもの。

Tuesday, July 01, 2008

Negative, Negative, And Nagative!

先日受けた性感染症(HIV、梅毒、クラミジア)検査の結果を聞くため、再度、東京都南新宿検査・相談室へ行ってきた。 (Address: 渋谷区代々木2-7-8 東京南新宿ビル3F; Tel: 03-3377-0811)

検査申し込み表(受検者控)を受付で提出し、受付番号をもらい、前回の検査の時とは違う、奥の待合室へ。 待合室には、20代と思われる女性1人、20代男女が1組がいるだけ。 ひとりひとり呼び出されていく。 待つこと約20分、やっと私の受付番号がアナウンスされ席を立った。


検査室のドアは木製だったというのに、検査結果を聞くため部屋のドアは鉄製。 見るからに重々しい雰囲気をかもし出していて、イヤでも緊張感が高まる。 (ちなみに、SATCのエピソードでサマンサはここで、あまりの緊張のため失神しました)

ドアを開けると、8畳くらいの部屋に男性医師が一人待ち構えていた。 心臓の音がどんどん大きくなるような気がした。 「よろしくお願いします」と言って、私が検査申し込み表を差し出すと、先生は私に目もくれず、厚い台帳を2つ、デスクの上で広げた。 

それぞれの背表紙には、HIV、そして梅毒&クラミジアの文字がある。 先生がおもむろに灰色の厚紙のようなものを取り出した。 中央部分に1センチくらいの幅でスーッと枠のように穴が開いていて、台帳に当てると1行だけ結果が見える仕組みになっている。 あまりの原始的な方法に拍子抜けしてしまったが、笑うところではない。 先生はHIVの台帳を開き、厚紙を重ねた。 私は先生の手が止まるのを待つ。 

「いいですね。 これがあなたの検査番号ですね。」 先生が私に確認を求める。 「はい。間違えありません。」 私がそういうと、先生は指でその番号の横を指した。 「HIVの検査結果は・・・陰性です。 あなたはHIVに感染していません。」 思わず、「ありがとうございます。」と私。 そして2つめの台帳を開き、同様に厚紙を当てる先生。 「梅毒とクラミジアの検査結果は・・・陰性です。 あなたは今までにどちらにも感染したことはありません。」 またもや、「ありがとうございます。」と口をついて言葉がこぼれた。

「今日はこの後、横の部屋で院長との問診があります。 何か質問があればその時に聞いてください。」 そう言われ私は、「ありがとうございました」を繰り返しながら、もうひとつの思い鉄のドアを開けて、院長の待つ隣の部屋へ入る。

院長は“アラウンド60”(←何もこんな時に使わなくても・・・) 穏やかな声で語りかける。 「何か質問はありませんか。 この結果についてどう思いましたか?」 私はまだ平常心に戻れなくて、ドキドキしたまま、「検査の結果が良かったので安心しました」と伝えた。 すると院長は、「それは良かった。 おつかれさまでした。 外でアンケートをしていってください。」 と静かに言って、問診はほんの1分で終わった。

思い扉を開け、外にいくつもあるブースの1つに腰を下ろす。 今までのセックスライフと性感染症に対する認識を問う質問が並んでいるアンケートに答える。 サラサラと、ものの3分くらいでアンケートは終わってしまった。 受付のスタッフの方々に、心から、「ありがとうございました」とお礼をして、クリニックを去った。 

外はまだ明るかった。 交差点で信号待ちをしてる間に、BFにメールした。 「(検査は)全部ネガティブでした。ひと安心です」 信号が青になり、人波が動き始めた。 私の足取りは軽い。 大嫌いな新宿の景色が、ちょっといい感じに見えた。


山手線に乗り込みしばらくすると彼からの返信。 「おめでとう。 ということはオレもOKね」 思わず笑みがこぼれ、やっと心からホッとした瞬間、いつもの「元気」が戻ってきて、つい意地悪なメールを打ってしまった。 「私以外としてなければね」

さてさて、これからはセーファー・セックスを心がけよう&定期的に検査しよう♪ 
そしてどうか、みなさまも、そのように、お願いしますね。

Let's Get Tested For Sexually Transmitted Diseases (STD)
“枯れ専”の“アラウンド30”
(“アラ50”の彼が大好きな私)

雑誌をパラパラめくっていたら、当たり前のように使われていた“枯れ専”という言葉。 なにそれ~? 知らないよ~!ってことで調べてみると、「“枯れ専”とは、社会の荒波にもまれて人生の酸いも甘いも知り尽くし、若い人のギラギラした油が抜けきった“枯れたオジサマ”を好む女性のことです。 ちなみに枯れたおじさんの魅力をまとめた『カレセン~枯れたおじさん専科』という本まで既に出版されています。」

なるほど~。 『カレセン~枯れたおじさん専科』によると、“枯れたオジサマ”の定義は・・・
・一人の時間をもてあまさない
・路地裏が似合う
・金や女を深追いしない
・自分の年齢を受け入れている(若ぶらない)

ふ~ん。 “枯れたオジサマ”好みの“アラウンド30”が増えているっていうのは、なんか分かるような気がする。 20代後半~30代前半の女性っていえば、ちょうど仕事に慣れてきて、責任も持たされるようになってきて、ストレスレベルはマックス、なかなか疲れがとれないっていう毎日を過ごしている頃。 キャピキャピした後輩が入社してきて、同年代とか上司の男性はその子たちに夢中で、自分たちには目もくれないっていう状況の中、女としての魅力に疑問を感じる頃。 そんな時、“枯れたオジサマ”が禅僧のように、やけに格好よく見えて、すがってしまいたくなるものだ。 私も“アラウンド30”の頃は、落ち着いたグレーヘアーの男性に憧れたものだわ。 老眼鏡をかけて朝刊を読む姿に萌え~とか、あった、あった。 

私の中の“枯れたオジサマ”のイメージは、“アラウンド60”。 そんな彼はきっと・・・休み前の夜じゃなくて、平日の真ん中あたりの夜に、「もし良かったら」なんてかなり控えめに食事に誘ってくれて、期待もせずについていったお店はちょっと外れたエリア、例えば根津とかにあったりして、お店は外観からしてなんとも情緒的で、中に入ったらどこか懐かしい感じで、もちろん女将とは長年知りあいだからフツウのお客よりも1品、2品多くサービスしてもらえて、私が機関銃のように仕事のグチを話し始めたとしても黙って聞いていてくれて、話の途中ではやわらかく微笑みながら相槌を打ってくれたり、時には全く嫌味じゃない感じで、抽象的なアドバイスをしてくれて、お酒を飲んでも背中はピシっとしていて、私のグラスが空くか空かないかのタイミングで、「どうする?」っておかわりを聞いてくれて、私の頬が赤くなった頃には、「トイレはいいの?」って場所を教えてくれて、席に戻ってきたらお会計はとっくに終わっていて、お店を出た後も、「もう一軒行こうか」なんて夜を引き伸ばすことなんかしないで、スっとタクシーをとめてくれて、私が、「一緒に乗り込んでくるのかしら?」とチラっと思う隙もあたえずに、「これ使って」ってタクシー券をくれて、「おやすみ。 楽しかったよ。 ありがとう。」ってドアを閉めて、私の乗ったタクシーを見送る・・・


“アラウンド40”(今年39歳)の私は、私自身が「枯れてきた」と自覚しはじめているので、“アラウンド60”だとちょっといきすぎ。 “アラウンド30”は若すぎて疲れちゃうし、“アラウンド40”は理屈っぽくて面倒くさい。 今の私にとっては、“アラウンド50”がちょうど良いバランス、ド・ストライク。 “アラ50”の彼が大好きな私♪