Wednesday, July 09, 2008

Finally I Got My "First (& Last?)" Tattoo!

予約していた19時に、Tattoo Art Maruyama へ。

目黒通り沿いにあるフツウのマンションにスタジオはあった。 オートロックの入り口を開けてもらい、エレベーターで2階へ。 角部屋のドアの前でベルを鳴らすと、中から「どうぞ」という声。 ドアを開けると、フツウのマンションの玄関に彫師が現れた。 Tシャツと半パン。 腕と足にはタトゥーが入っているが、強面ではなく、霊能者の江原さんみたいな優しい印象。 スリッパをすすめられ、部屋の奥へ。 

1LDKの間取り。 入って左柄にキッチン&ダイニングがあり、その向かいにリビング。 キッチンのシンクの上には本棚があって、タトゥー関連の本らしきものがぎっしり詰まっていた。 ガスコンロの上にはケトルが1つ。 生活感があるようでないようであるようでないようである、そんな不思議なキッチン。 「そこにかけてください」 そうすすめられたのは、リビングの端にある黄色の2人掛けのソファー。 リビングの中央には診察台がある。 リビングの壁2面に窓があるが、それは暗室のカーテンのようなものでさえぎられていて、外は見えないようになっている。 照明は・・・フツウの蛍光灯。 BGMは・・・吉田照美のラジオ。 怪しい照明、怪しい音楽を想像していただけに、逆にちょっと安心した。 

彫師はキッチン&ダイニングにおいてあるPCの前に座り、何かをプリントアウトした。 よく見ると先日送ったサンプルを元に、少々手を加えたデザイン画。 私に手渡し、「どうですか?」と聞く。 イメージよりシャープな感じ、よりタトゥーっぽい感じ。 「OKです」と私が言うと、「これを記入してください」と、病院の待合室で記入するようなボードを差し出した。 よく見ると誓約書。 当たり前のことが書いてある中、「刺青は一生消えないと理解している」みたいな行が目に留まった。 誓約書の内容を納得した上で、必要事項(名前、住所、電話番号、メールアドレス、簡単なアンケート)を記入し、ハンコがなかったので拇印を押して、彫師に渡した。 黙ってそれを受け取ると、彫師はセッティングに取り掛かる。 私が今か今かとソワソワしているのを見て、「まだしばらくかかるので・・・」と言い、隣の部屋へ消えた。 しばらくして、戻ってくると、タバコに火をつけ、PCの画面を見つめながら、しばし喫煙タイム。 どうやらかなり無口な人らしい。

診察台にタオルをしき、その上にサランサップ、そして
上下に3本、テープで固定する。 枕にバスタオルを巻いてセット。 「立った状態で、入れる位置を決めます」 そういって彫師は、私の右足の内側、くるぶしの上を消毒をして、その上にアメリカ製のデオドラントを塗る (スティッキーだから糊の代わりね)  その上に半紙のような、クッキングペーパーのような、デザインを小さくカットしたものを、乗せた。 足に貼り付け、そしてはがすと、デザイン画が足に写る仕組み。 (アップリケみたいなものね)

「じゃ、頭をこちら側に向けて、右を向いて寝てください」 彫師に言われたとおり、診察台の上に横になる。 「あのー、痛いですか? 友達が入れるのを見たことはあるんですけど、かなり痛がっていたので・・・どれくらいかかります? やっぱりかなり痛いんですか?」 不安な声に私に彫師は、「比較になる痛みが思いつかないなぁ。 20分くらいで終わるから。 どんな痛みかは・・・もうすぐ分かるよ」 と言って静かに笑った。 欲しい答えがもらえなくてつい私は、「えー?」と切ない声を上げてしまった。

「じゃ、始めます」 彫師が椅子に腰掛ける。 壁にかかった時計を見ると19時40分。 ゴクっと唾を飲み込み、カラダに力を入れた。 彫師は、彫り始めてすぐ、「大丈夫?」と声をかけてくれた。 「大丈夫です」と私が答えると、黙ってまた彫り始める。 5分後くらいにまた、「大丈夫?」と聞き、私が「大丈夫です」と答えると、その後は無言で彫り続けた。 最初は1秒彫って、一瞬休み、そのうち彫る時間が2秒、3秒と長くなり、最後は5秒くらい彫って、一瞬休み。 

痛みは・・・痛いといえば痛い。 でも我慢ができないほどではない。 どんな痛みかというと・・・彫刻刀で肌を切り裂かれる感じ、というと大げさだけど、他に表現のしようがない。 骨の上に差し掛かると特に響いて痛い。 きゅんって胃まで痛みが届く場所もあれば、皮膚の上を引掻いてるだけのような痛みのところもある。 彫り始めよりも終盤に向かうほど痛みが大きくなるような気がする。 というか、痛みに慣れることなんてないから、痛みに痛みが重なって、痛くなる、ような気がする。 時計を見つめながら、痛みに耐える方法を考える。 ヨガの呼吸をしてみる。 吸うより吐く呼吸のほうが痛みが和らぐような気がする。 つい力が入ってしまっていることに気がつくたび、軽く頭の位置を変えたり、腕の位置を変えたりしながらリラックスを心がけるが、痛みがなくなることはない。 ああ、なんか初体験のときの痛みに耐える感じ。 早く終わらないかなと冷静に考えていたときのことを思い出す。 感覚としては何故か似てるなぁ、なんてぼんやり思った。

20時05分に彫師の手が止まる。 「5分くらい休んで、写真を撮って、薬を塗って終わりです」 彫師はそういってまたPCの前に移動し、タバコに火をつけた。  私は、診察台の上に起き上がり、入れたばかりのタトゥーを眺める。 キレイなもんだなぁ、としばしウットリ。 自分の肌にクッキリと刻み込まれたアルファベットを眺めながら、感無量。

2、3分休んだ後、彫師はカメラを持って近づいた。 無言で2枚写真をとり、そして局部を消毒し、軟膏を塗って、その上から、サランラップを巻いて、半透明のテープで止めた。 「恥ずかしいかもしれないけど、これが一番効くんで・・・」そういって、ボラギノールA軟膏のチューブを見せてくれた。 アメリカでもイギリスでもどうやら痔の薬が一番効くということで薦めているらしい。 「痔の薬には、化膿止めとか、痛み止めとか、かゆみ止めとか、いろいろ入っていて、彫った後の症状の緩和には一番適してる」  「分かりました、薬局で買って帰ります」と私。

彫師が手当ての方法を口頭で説明してくれる。 そしてさらに詳しいアフターケアの方法を書いた紙をくれた。 料金は2万1千円。 代金を手渡すとき、彫師が合掌した姿が印象的だった。

しばらくは湯船につかることはできない。 そして1日2回、ボラギノールを摺りこむ毎日。 掻いたりするのはNG。 1年くらいは日焼けは厳禁。 

帰り際、参考までにと彫師に質問した。 腕1本に入れるとすると大体30万くらいかかるそう。 時間にして12時間くらい。 背中1枚だと、料金はさずがに聞けなかったが、時間にして30時間ほど。 1回に彫るのは大体3時間くらいだというから、すさまじい。 私なんて20分くらいでいっぱいいっぱいなのに、3時間ぶっ通しで痛みに耐えるだなんて・・・「気合」を見せたい人にしか出来ない業だ。 

終わってしまえば痛みはほとんどない。 ただなんとなく違和感があって、それをかばうためについ不自然な歩き方になってしまう。 入れたばかりのタトゥーはパンツに隠されて誰にも見えない。 秘密を抱えているという感じがいい。 痛みに耐えたという達成感と、念願のタトゥーを入れたという充足感がいい。 そしてなにより、大好きな彼のイニシャルが入ったという多幸感がたまらない。


My First Tattoo

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