Thursday, August 31, 2006

Candle in the Wind
- Princess Diana of Wales (1961-1997 )


9年前の8月31日、Diana妃が亡くなったというnewsは、彼のcell phoneのけたたましく鳴り響く音で知らされた。その瞬間、私たちはPAのFour Seasonsに宿泊していた。彼の奥さんと子供はしばらく帰国して帰らない。時間制限のない2人きりの貴重な時間。

しかし結局、2人きりでゆっくりすごせるはずの夜は、鳴りっぱなしのcell phoneで台無しになり、期待していたcandle light dinnerは、味気ないroom serviceに成り下がり、あっという間に彼は私など眼中になくなり、朝まで電話対応・指示に夢中になった。彼が目をきらきらさせて仕事をしてる間、私は1人でCalifornia redを何本も開けて酔っ払い、気がつくと眠ってしまっていた。

翌朝、重い頭を起こし、部屋の中に彼を探す。
すでにしっかりと支度を済ませ、姿勢良く椅子に腰掛け、電話をしている彼。
私が目覚めたのに気づくと、左手でゆっくりカーテンをしめ、すり足で私に近寄る。
これから何をするわけでもないのに、できるわけはないのに、
そんな場合ではないのに、 どうせ無理なのに・・・。
頭が割れるように痛い。hangoverにやられてる私。
そんな私を見て、悪戯好きな子供のように笑う彼。

結局、私たちはお互いに触れることなくFour Seasonsを後にした。
帰りの車の中の私たちは、まるで倦怠期の夫婦のように無口だった。
まだ奥さんと子供が帰る日までは数日あるというのに、
今日はまだお互い休日だというのに。

そして彼はRockefeller Plazaにあるofficeと向かい、
私はBFの待つQueensのapt.へと帰っていった。

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If you'd like to know more of the Princess Diana of Wales,
check out the below websites:

http://www.time.com/time/time100/heroes/profile/diana01.html
http://en.wikipedia.org/wiki/Diana,_Princess_of_Wales

Wednesday, August 30, 2006

命の火

おばあちゃんの容態は毎日確実に悪くなっていっている、と母が言った。

とうとう今日からモルヒネを入れ始めた。
利尿剤ももうあまり効かなくなり、むくみがひどい。
持参したパジャマのウエストのゴムがきついので、
病院の寝巻きを借りて着ている。

おばあちゃんは週末まではもたないだろう、と母が言った。

おばあちゃんの命の火が消えかかっているというのに、
私たちの生活は普通に続いていく。
今すぐ飛んでいきたいと焦る反面、今すぐ飛んでいっても何もできない空しさ。
私たちがが笑っていようと泣いていようと、目の前の現状は変わりはしない。
私たちがどんなに祈っても、おばあちゃんの命の火がその勢いを取り戻し、
再び燃えあがることはない。
おばあちゃんの命の火が今消えようとしているというのに、
私たちはただ黙って見ていることしかできないだなんて!

昨日と同じ歩幅で歩いていく私たちの中で、
おばあちゃんだけが急激にペースダウンしていく。
みるみるうちに、その姿が遠く、小さくなっていく。
その小さな影は点になり、薄くなっていく。
そしてとうとう消えてゆく、永遠の彼方へと。

Tuesday, August 29, 2006

Today's Movie - Indecent Proposal

Today's Movie - Indecent Proposal

1993年の作品。日本語タイトルは『幸福の条件』だったと思う。いかにも日本的なタイトルだなあと思った記憶がある。英語タイトルから伝わる雰囲気は、ショッキングだけど、キャッチーで、少しだけ居心地の悪い感じ。この映画の中で、ジョン・ゲイジ(Robert Redford)が若い夫婦・デイヴィッド(Woody Harrelson)&ダイアナ(Demi Moore)に提案する。

"Suppose...I were to offer you $1,000,000 for one night with your wife...what would you say?"

お金に困っていた二人は悩みに悩んだ末、やむを得ず『Yes』という答えを出し、ダイアナはジョンと一晩を過ごす。ダイアナを他の男のところへ行かせてしまったことを後悔しながら一晩中寝ずに彼女の帰りを待つデイヴィッド。その後2人は100万ドルを手にしてハッピーエンドだったか?といえば、それはNoで、2人はどうしてもあの夜のことを忘れることができない。お金さえあれば幸せに、何の不安もなく、笑って生きていけると思っていたのに・・・。たった一晩の出来事、その決断が、2人の関係を壊していく。

当時は、「あなただったらどうする?」「私だったらどうする?」という会話をあちこちで聞いた。20代半ばだった私の答えはYesだった。ダイアナと同じことをすると言っていた。でも37歳になった今の私の答えはNo。お金の大切さは良くわかっている。でもお金で買えないものはこの世には確かにあると今はわかる。どんなに落ちぶれても、自分のプライドは捨てられない。最期の砦のように死守しなくてはならない絶対的なものがあると信じている・・・でももし家族の命が脅かされるとしたら?私は迷うことなくYesと答えるだろう。

お金より大切なものがあると信じられる今の平和な世の中に生まれてよかったと思う。

Sunday, August 27, 2006

家族の絆

入院中の祖母の容態が悪化し、大部屋から個室へ移ったという知らせが入ったのは昨日のお昼すぎのこと。今日は私も実家へ向かい、南大沢から叔父と叔母と従弟もかけつけた。

病室に入ると祖母が力なく横たわっていて鼻からは酸素を入れていた。1ヶ月前に面会に来たときはまだ自分で起き上がり、トイレに行ったり、髪をといたりしていた。車椅子を借りて外の空気を吸いにいったりもした。でも今はトイレにも行くこともできず、起き上がることもできない。ただ横になり、何度か手伝ったもらって寝返りを打ち、苦しみに絶える毎日だ。痛みを和らげるために毎晩座薬をいれているがその副作用からか1日に2回くらいは吐いてしまう、寝ている時間が今はほとんどだ、と母がみんなに告げる。

今日は祖母の90回目のバースデー。叔父たちはバラの大きなアレンジメントを、私たちはバースデーケーキを用意した。9本では縁起が悪いということで10本のキャンドルをたて、そのうちの9本に火を点け、うとうとしている祖母に見えるよう、ベッドサイドにケーキを持って行く。

叔父が祖母に優しく声をかけて起こす。かあちゃん、今日はかあちゃんの誕生日だよ。だから、孫たちがケーキを買ってきてくれたよ。お誕生日おめでとう。祖母は弱々しく目を開け、叔父の呼びかけにうなづく。かあちゃん、ケーキ見えるか?90歳だからろうそく9本。かあちゃん、良かったな。良かったよな。

祖母はしっかりと目を開き、ケーキとその後ろに立っている私たちを見つめる。いいことばかりだったぁ。良かったぁ。みんなでご飯食べて楽しかったぁ。祖母は叔父の手を握りしっかりとした口調でそういった。そして次の瞬間、こらえきれない表情をしたたかと思ったら、声を出さずに泣き出した。その顔を見た瞬間叔母と私は、どうしようもなく切なくなってしまって、泣いてしまった。弟と従弟はじっと立ち尽くしていた。叔父は祖母を見つめていた。母は祖母の背中をなでていた。

しばらくそうしていた後、叔父が祖母に語りかけた。かあちゃん、かあちゃんの代わりに孫たちがろうそくを吹き消すよ。いいよな、かあちゃん。祖母は3回、頭をたてに振り、叔父は3回も振るなんて、すごくオッケーなんだよな、かあちゃんといって、それを聞いた私たちはなぜか笑ってしまった。

弟と従弟に挟まれてキャンドルを吹き消す。祖母が良くなりますように、なんてきっと誰も願わなかっただろう。みんなの想いはひとつ。苦しまずに逝かせてあげられますように。

祖母の具合が悪くなったのは金曜日。その時父は蒲田で飲んでいた。急いで病室に駆けつけたが、蒲田から実家へ戻るのに2時間半はかかってしまい、病院に着くともう夜中になってしまった。父は、息も絶え絶えな祖母からかなり叱られたらしい。こんなに酒臭いなんて、呼んでもいくら待っても来ないなんて、この子は何か悪いことでもしてるんじゃないだろうか。この子に墓守はまかせられない。心配で、心配で。祖母は主治医や当直の看護士さんたちにも父の素行の悪さを愚痴ったらしい。それで父はかなりしょげている。大好きなかあちゃんの期待を裏切ってしまった。かあちゃんがいうことは絶対だから、俺はどこかおかしいのかもしれない・・・。

落ち込んだ父を励まし、かばったのは他でもない、母だった。父が「立派な人」である理由をいくつもいくつも挙げて、祖母を説得、安心させた。長い間連れ添った夫婦だからこそ分かること、出来ることがあるんだなあと思い、感心した。そして私もいつか、自分の夫の最大のピンチを支えることができるような、肝の据わった妻になりたい、と思った。

私の家族は自己中心的な性格の集まりで、みんな言いたい放題で、集まれば疲れることばかりだけど、やっぱり家族が一番いい。家族の絆っていうのは、他のどんなものより強くて逞しいと思った。

Friday, August 25, 2006

ありがとう

駅まであと5分、というところで急に雨が降り出した。
すぐにやむだろうと思っていた私の期待を裏切って、
あっという間に本降りになってしまった。
いくら雨に濡れるのが好き、と言っても、
これから仕事にいこうとしているとき、は別だ。

服が、髪が、かばんが、雨を吸って重くなる。
サンダルの中、裸の足がすべる。

次の瞬間、車が私の歩く歩道に幅寄せして止まった。
モスグリーンの、ジープみたいな、軽自動車。
運転席の女の人が窓ごしに何か叫んでる。
iPodのイヤホンをはずし、「何ですか?」という表情をつくる私。

女の人が車から降りてくる。
手には黒い傘を持っている。
「お嬢さん、これ使って。せっかくのきれいな御髪が・・・。」

50歳半ばくらいのその女性は、ひざ丈のムームーを着ている。
濃い緑と紺の大きな柄、ジバンシーのスーツにありそうな。
差し出した傘を握る手は、年月を重ねた女性特有のもので、
その数本の指には、金色の指輪が飾られていた。
そのまま視線を上に移す。
広く開いた胸のあたりには日焼けによるシミが目立ち、
手と同様の「年輪」が刻まれている。
首の周りには、ゴールドのネックレスが重ねられている。
ゆるくアップにした髪にはやわらかいウェーブがかかっていて、
その髪の一本一本に雨の雫が張り付いている。

昔から私は大人びていた。
中学1年生のときは、新社会人に間違われ、
高校3年生のときは、28歳くらいだろうと言われた。
昔はそれがとても嫌だった。
その私が、37歳にして、「お嬢さん」と声をかけらた。
くすぐったくて、少しだけ申し訳ない気分。

走り去る車と共に消えてゆく女性に向かい、何度も繰り返す。
ありがとう、ありがとう、ありがとう・・・。

Thursday, August 24, 2006

My First Night Without You

I guess this is what I wanted.
Or you would say so.


But you know, I didn't want my life to be this way.
It hurts so much.
Not having you in my life.
And you gotta know that.
That I don't want my life this way.

It feels like my first night without you tonight.
Without feeling you near me.
Right next to me.

And it hurts so much.
And I don't like this.

I want you back in my life.
Right back in my bed, right here next to me.
I want you to feel my heart beating.
Want you to touch me all over again.
Throughout the night.

You're thousands of miles away.
And you're missing everything that's happening in my life.
That all the things that I wanna share with you.

Can you hear my voice calling your name?
Brand New Day

今朝は目覚まし時計が鳴るずいぶん前に目が覚めた。
首をずらし視線を横に移した先には、携帯電話が転がっていた。
昨夜の長電話の残骸。

Remorse inevitably follows...

着信・リダイヤルの履歴を全削除する。
受信・送信アドレス履歴を全削除する。
メインフォルダーの中、既読メールを削除する。
メインフォルダーの下に作成したフォルダーの数は3つ。
そのうちの2つを削除する。

新しいフォルダーを1つ作成する。
「新しいフォルダー」のフォルダー名編集はまだ。

自動振り分け設定もまだ。

ベッドから抜け出し、携帯電話を充電する。
バスルームに向かう途中、もうRemorseは消えている。
そして、新しい一日が始まる。
泣きたい気持ち

駅から職場まで徒歩10分弱。
汗が首の後ろから背中に流れる。

桜坂を下り高層ビルのコーナーを曲がったとき、
iShuffleの曲が変わった。
Earl Klughのギター。
「The April Fools」

http://www.amazon.co.jp/gp/product/B000005GW9/250-1485093-1796233?v=glance&n=561956

たくさんのアーティストがカバーしている名曲。
恋に「落ちた」瞬間の多幸感と不安感の入り混じった
複雑な気持ちをうまく描いた歌詞。

In an April dream
Once she came to me
When you smiled I looked into your eyes
And I knew I'd be loving you
and then you touched my hand
And I learned April dreams can come true
Oh are we just April fools

Who can't see all the danger around us
If we're just April fools
I don't care, true love has found us now

Little did we know
Where the road would lead
Here we are a million miles away from the past
Travelin' so fast now
There's no turning back
If our sweet April dream doesn't last
Are we just April fools

Who can't see all the danger around us
If we're just April fools
I don't care, we'll find our way somehow
No need to be afraid
True love has found us now

ガードに朝の挨拶をし、ゲートをくぐる。
タイミングよく天気雨が降り出す。

なんだか泣きたい気持ち。
恋に落ちた瞬間に恋を失ってしまったような、
そんな気分になって・・・。

Wednesday, August 23, 2006

継続は力なり(だと信じて・・・)

今日はダンスレッスンの日。7月7日に初めてレッスンを受けてからもうすぐ2ヶ月が経とうとしている。最初は週に1回、30分だったレッスンが、最近では週に2回、1時間になった。上達したから頻度を上げ時間をのばしたわけではない。難易度が増すにつれ、間隔をあけてしまうとステップを忘れてしまうからそうなった。

最近の定番。まずは「ジルバ」でウォーミングアップ。1、2曲踊ったところで、「チャ・チャ」に入る。軽くおさらいをした後、音楽に合わせて踊る。テンポはまだ通常の速さより-10遅い。これを1、2曲踊った後、先生が細部の「矯正」をする。ウェイティングの姿勢、足の引き寄せ方、ステップのひとつひとつ、手の動き、視線、腰のゆらぎ、軸がぶれないように回転、回転・・・。それが終わると私にとって苦手ともいえる「ルンバ」に入る。私はどうやらゆっくりなダンスに弱いらしく、パートナーのリードを待つことなく、勝手に動いてしまう。今日はかろうじて先生のリードを待つことはできたが、足運びには色気が足りないらしい。先生が叫ぶ。「ひざをつけるように!」 「くるぶしをぶつけるように!」 体の線をよじりながら、なおかつ頭と足は上下にストレッチしなくてはならないとは、どういうこと? 一体どうやったらそんな風に体が動くのっ?? ヨガで柔軟になっているはずなのに、私の体はルンバの動きに戸惑っている。先生が定位置を教え込むために私の体をひねる。そのたびに私の体は悲鳴を上げる。

「継続は力なんですよ」と先生はいう。10年後、私の体は今よりずっと美しくなっているはずだと先生はいう。努力が苦手、忍耐力・持久力にかける私には先生の声が遠くに聞こえている。

私が四苦八苦している姿を、「ダンス教室のアンジョンファン」が見ている。今日も彼は美しく存在している。バーを使ってストレッチをした後、シャドウステップを始めた。2ヶ月前初めて彼をみたとき、彼は肩に力が入りすぎていてステップもたくさん間違えていたというのに、今夜の彼は別人だった。ステップは軽やかで動きの全てがとてもスムーズで色気がある。相変わらずのフワフワな長髪は軽く束ねられている。私の意識は「アンジョンファン」から動かない。フロアーには3組のダンサーたちが自由自在に動き廻る。どんな場所に移動しても、私の視線の先には「アンジョンファン」がいる・・・。

レッスンが終わった。先生が私から離れ、次の生徒「アンジョンファン」の元へ移動する。そして彼の前でお辞儀をし、彼の手をとる。先生のその手は数秒前まで私の手を握っていた。その手を彼が握る・・・。彼の手のぬくもりと私の手のぬくもりが重なる。先生の手は「矯正」のとき私の体のあちこちに触れていた。その先生の手に彼の手が重なる・・・。あぁ・・・。

まだ「アンジョンファン」のことは知らない。彼も私のことは知らない。でもいつか、もしかしたら彼と踊る機会があるかもしれない。それまでに美しく踊れるようになっていたいから、努力を重ねることにしよう。彼の手に私の手が重なるとき、今よりずっと挑発的に踊れるように。継続は力なり、だと信じて・・・。

Tuesday, August 22, 2006

只今、想像妊娠中!

私は28日周期で生理が来る。
初潮からかれこれ20+α年が経つが、生理が遅れることはほとんどない私だが、
かつて生理が遅れたことが数回あった・・・。
1度は妊娠。その他はなんと・・・想像妊娠!

どうやら、私は好きな人が出来ると、想像妊娠をしてしまうようだ。
妊娠するからにはそのための「行為」がなければならないのだが、

そういう「行為」なしの状況下でも、「あ、妊娠したかも・・・」と思い込んでしまうほど、
ナイーブな部分が私にはある。
「聖母マリアじゃあるまいし、妊娠なんてあり得ないっ」とは思っていても、
なぜか想像妊娠してしまうのだ。

「好きな人の赤ちゃんがほしいわ」なんていう甘い想いで、

想像妊娠をするわけではない。 どちらかというと、
「こんなに幸せな日々が長く続くわけはないのよ」という想いがあって、
「あんまり調子に乗っていると痛い目をみるよ。
しっかり地に足をつけて歩いていかなきゃだめだよ」という風に、
幸せな状況下で有頂天になっている自分を戒めるため、
想像妊娠をしてしまうような気がする。

とにもかくにも、只今、想像妊娠中!
「初期妊娠の兆候」の8割が当てはまってしまう私・・・

-からだがだるくて疲れやすくなる
-眠くてたまらない
-熱っぽくなる
-トイレが近くなる
-便秘になる
-食べ物の好みが変わる
-においに敏感になる
-イライラする
-胸がむかつく
-つわりがある
-おっぱいが張る
-乳首の色が濃くなって敏感なる
-月経がとまる
-基礎体温は高温が続く
-いつもと違った出血があった
-肌が荒れる
-おりものが増える

生理予定日まであと2日。
よ~し、気合入れていきましょう!!

Monday, August 21, 2006

トリビアの泉

外反母趾予防・トゥ・ストレッチャーを装着した足は、




「リロ&スティッチ」スティッチの足に似ている・・・


さて、このトリビア、何「へぇ」だろう?

Friday, August 18, 2006

To be with or not to be with...

あれは4月半ばの午後。
置きっぱなしにしていたパヴァロッティのCDやカバラの本をバッグに詰め、逃げるようにして彼の部屋を後にした。あれから4ヶ月弱がたち、久しぶりに彼に会った。

約束した駅の改札の前で待っていると、彼が後ろから声をかけた。一度家に戻ってからタクシーでやってきたらしい。私の顔を見るなり彼は、クリスマスプレゼントを開けたときの子供のように興奮と喜びの入り混じった表情をみせた。最期に会ってから、ずいぶん長い時間がたったような気もするし、つい最近のことだったような気もする。彼は相変わらず、必死に獲得した宝物を見るような目で、私を見つめる。そして、その宝物がいつかほかの誰かに横取りされてしまうのではないかと、ビクビクしている。

また、あっという間に機嫌が悪くなってしまう私の顔色を、うかがっている。彼が、「迷える子羊」のような目をして私を見つめるとき、私の中には、非情な欲求が湧き上がってしまう。そんな頼りない弱い存在は叩き潰したいと、性悪なアイデアばかりが浮かんでしまう。せっかくの再会の今日、あぁ、そんな風に思いませんように・・・。神様どうかお願いします・・・。

彼と付き合い始めたのは2年前の冬、7ヶ月一緒にいて夏に別れた。

1998年、お互いNYで生活していたころに、一度顔を合わせてはいるが、当時の2人はお互いの想いが行き違い、ディナーさえセットすることができなかった。彼はまだ30代後半であちこちの女性に目移りしていたし、私は20代後半でステディーなBFと同棲していた。2年前の2月、お互いの共通の友人が来日した際、3人でディナーをとって以来、連絡を取り合うようになった。

初めて彼のアパートへ足を踏み入れた瞬間、とても懐かしい気持ちになった。
ずっとそこに住んでいたような感覚。これから先ずっとそこに住むような感覚。その空間の何もかもがしっくりくる感じだった。キッチンもリビングもスタディールームもベッドルームもバスルームも、その全てが、私が頭の中で描くとおりのデザインのままにそこにあった。開け放した窓から柔らかい風が入り、部屋の中を走る。いい「気」がめぐる空間だと感じた瞬間、ちらっと彼との将来を意識した。

2人のデートはいつもその居心地のよい部屋の中だった。

どこかに行こうと思えば行けたし、実際彼は私をドライブに何度も誘った。それでも私はその部屋から出ることを選ばなかった。下界にこれ以上心地よい空間があるというの?

彼の部屋はペントハウス。
屋上もついていたので、都内で行われる週末の花火は大体見ることができた。ローテーブルと折りたたみ椅子を運び、簡単なおつまみとビールをセットすれば、喧騒を避け、特等席で花火を見ることができた。花火が終われば部屋に戻り、レコードを聴いた。時には夜だというのに大音量で聞くこともあったし、時には語り合うことに夢中になり、音楽はBGMでしかなかった。そうやって美しい思い出をたくさんつくった。そしてたくさんの贅沢な時間が過ぎていった。あっという間に7ヶ月が過ぎていった。

その朝はいつもの朝となんら変わりがなかった。

いつもどおり6時半に私が起きシャワーを浴び、化粧を始めたころ、7時すぎにノロノロと彼が起きシャワーを浴びた。平日はいつもは私が7時半ごろに部屋を先に出るのだが、その日から2週間のフランス出張に出る彼は、東京エアポートターミナルまで行く途中、私を職場の前でドロップ・オフすると言った。1ヶ月に1度のペースで海外出張があった彼は、出張に出かける朝はいつもそうやって
職場までのライドをくれた。それは今までも何度もあった朝の光景だったので、彼はきっとまさかそれが最後のシーンになるとは思っていなかっただろう。いつものように「送ってくれてありがとう。気をつけてね」といいながら私はタクシーを降りた。車が見えなくなるまで手を振りながら私は、もう二度と会うことはないだろう彼に心の中で「さようなら」を何度も何度も繰り返した。

私たちは駅から歩いてすぐのところにある居酒屋に入った。

席に通され生ビールを注文した後すぐ、「シャネルの本店に行って頼まれていたガーデニアを買ってきたんだよ」、と彼は言った。「でもすぐに、会社の女の子にあげちゃったけどね」、と言って、ちょっと恥ずかしそうにちょっと悔しそうな顔をしてメニューを開き、食事をオーダーする。ああ、あの日、彼がパリで私のためにガーデニアを買っているとき、私は新しいBFと高層階にあるレストランで日本酒を飲んでいたんだ。彼が国際電話をかけてきてメッセージを残してくれたとき、私とそのBFはリバーサイドのレストランでカリフォルニアワインを飲んでいたんだ。そのときすでに私の左指にはプロミス・リングが光っていた。出会ってからまだ1週間もたっていないというのに、そのBFとの関係は急スピードで進展していたんだ・・・。

結局、その新しいBFとは婚約し、半年ほど同棲したが、結婚には至らず、私はひどく傷ついた。

しかしそんな私を癒してくれたのは、他でもない、彼だった。新しいBFができれば音信普通になり、BFと別れたとたん、駆け込み寺のように彼のアパートに転がり込む、また新しいBFができればそこから出て行く私。そんな身勝手な私を、いつも優しく受け止めてくれる彼。その彼が今、目の前で、エビスビールを飲んでいる。ジョッキをテーブルに置くたびに私を見つめ、再会できたことをココロの底から喜び、満面の笑顔を浮かべている。この瞬間、私の中に、意地悪な発想は浮かんでこないことに気づき驚く。その瞬間、彼をみる私の視線が変わったことに気づく。私と同じ目線で物事を見ることができる頼もしい存在として彼がそこにいることに気づく。

振り返れば、私は彼を何度も何度も裏切って傷つけてきた。

それでも彼は、私が傷ついて動けないとき、その傷を癒してくれていた。仕返しをしようと思えばできたはずなのに!こんなに愛され、大切にされているというのに、なぜその気持ちにこたえることができないの?と思う。彼を物足りないと感じる日もあるかもしれない。でも私をこれほど大切にしてくれる人は他にはいないことは確かだ。NYで初めて顔を会わせた日、あれからお互い別々の道を歩んできた。
それでも何度となくその道は寄り添い、つかず離れず距離でお互いを大切に思ってきた。これは何かを物語ってはいないのだろうか?何かの前触れではないだろうか?

彼をもう一度見つめる。ホウレンソウのおひたしをすする彼。

額に少し汗をかいている。彼が私を見つめる。そして目を細めて笑う。
彼の額の汗をおしぼりでぬぐう私。彼が恥ずかしそうな顔をして下を向く。
今日の意地悪はこのくらいにしておこうとその時私は思った。

Thursday, August 17, 2006

負け犬の遠吠え?
~「既婚者+子持ち」たちへのお願い~

都内某シティーホテル内のレストランでレイト・ランチをしていたときのことだ。ランチタイムのラッシュもおさまり、落ち着いて食事&休憩ができると思っていた矢先、隣のテーブルに30代半ば夫婦+子供が通された。夫婦は食事券のようなものをシーティング・ホストに渡し、子供用の椅子をリクエストする。子供は、多分1歳半か2歳だろう。まだ「人間の言葉」を話すことができず、変な音を発している。人間の形こそしているが、恐竜の赤ちゃんと何ら変わらない、と私は思った。運ばれてきた夫婦の水が欲しいのか、子供は両手を伸ばし、「あー、あー」と奇妙な音を出しはじる。それを見たウエイトレスが、「お子様用のお水をお持ちしましょうか?」と聞き、夫婦は、「お願いします」と言った。小さなプラスティックカップに短いストローを差した水が運ばれてくる。母親に抱きかかえられた恐竜の赤ちゃんは、母親のひざ上にボロボロと水滴をこぼしながら、水を吸い上げている。「あまりジロジロと他人を見るものではありません」と、よく母に叱られたことを思い出しながら、それでも私は隣の親子から目が離せなかった。こんなきちんとしたレストランに「怪獣」を連れてくる夫婦はいったいどんな顔をしているのか?いったいどんな人生を送ってきたのか?どんな思考回路をしているのか?

父親は中背・小太りで、モスグリーン色のゴルフ用のポロシャツを着て、ベージュ色のコットンの短パンをはいていた。サンダルだというのに、几帳面に白い靴下を履いている。母親は中背・痩せ型で、黒のポロシャツと黒の短パン。ポロシャツの襟には2本のラインが入っている。夫婦は二人とも色白でメガネをかけていて、母親はレース編みのキャップをかぶっていた。父親の横の席には、恐竜の赤ちゃんのオムツや着替えなどが入っているだろうクリーム色のキルティングのバッグと、その横には、銀座松屋の紙袋が寄り添っている。

「怪獣」が母親のスプーンを投げる。それを未然に防ごうとした母親のひじが紙ナプキンを飛ばした。金属のスプーンが大理石の床に叩きつけられた音が響く。子供を抱きかかえている母親は、スプーンと紙ナプキンを拾おうと、右手を床に近づけるが届かない。瞬時にウエイターが駆け寄り、床に広がった残骸を片付け、新しいナプキンとスプーンをセットした。その様子を冷ややかに、他人事のように眺めていた「怪獣」は突如我にかえったかのように、「あー、あー」という声を出し始め、時折「ひぃーん」や「ぐふぅーん」という音も加えた。夫婦はそんな子供の姿を目の前にして、いないないばあを繰り返す。

子供の発声には人を苛立たせる何かがある。町の騒音、たとえば、道路工事のドリルの音とか、救急車・パトーカーのサイレンの音とか、右翼団体の車から流れる音楽とか、そういうものよりずっと人を不快な(不愉快な)気分にさせる。子供が泣くこと=子供の危機ということで、それに反応するように私たち大人はプログラムされているんだろう。その昔、NYから帰ってくるとき、2つ前の席に親子が座っていて、子供は1歳未満だったような気がする。離陸と同時に泣き始め、結局14時間の飛行中12時間くらいは泣いていたのではないか?着陸態勢に入り、気体が下降しはじめるとさらにその声は激しさを増してきた。あと数分、あと数分と自分に言い聞かせて、かなきり声を聞かされるという拷問に堪えたが、あの時もし滑走路が込んでいて空中で旋回を繰り返すようなことになっていたら?きっと私は勢いよく席を立ち、泣き止まない子供の首を一気に締め上げたのではないか?というくらい、私は追い詰められていた。

ふと我に返ると、隣のテーブルの「怪獣」は母親のひざの上でゴソゴソと落ちつきなく動いていた。相変わらず冷ややかな目をして、周囲の状況をうかがっていた。あまりの不快感に胃の調子まで悪くなってきて、私は逃げるようにしてレストランを後にした。

なかなかこないエレベーターを待つ間、ホールの静寂によって癒され、気分もずいぶん良くなってきた。と次の瞬間ドアが開くとそこには、夫婦+2人の子供が乗っていた。母親は喧嘩をする子供たちを怒鳴りつけ、父親はベビーカーと家族全員の荷物を持っていた。その中に乗り込む私。3階から1階へ降りる短い時間がとてつもなく長く感じた。そのドアは永遠に開かないのではないかと思うくらいに・・・。

「既婚者+子持ち」たちに私の気持ちはわからないだろう。私は「怪獣」が嫌いなのではない。「結婚」や「出産・育児」に憧れていないわけでもない。ただ、「既婚者+子持ち」たちの強欲さにあきれてしまうのだ。これ以上何が欲しいというのだろう?愛する人に選ばれ、一生を神前で近い、祝福され子供を授かり、社会からも信頼を得、地位を獲得し、自分という存在の中にいくつもの役割を見出し、心身ともに充実し・・・。これ以上何を望むのだろう?

「既婚者+子持ち」 の方々にお願いします。「独身者」たちのテリトリーに入り込まないでください。「独身者」たちのささやかな幸せを羨まないでください。家庭という安住の地を得たからには、独身時代の快楽からは足をあらってください。一度は「独身者」だったのですから、どうぞ思い出してください。美しい空間は、「独身者」たちの恋のバトル・フィールドなのですから、生活臭を撒き散らすのはやめてください。戦闘服を身にまとい、これから始まる戦いを目前に精神統一をしているハンターたち(=独身男女)の戦う意欲を殺ぐのはやめてください。ご存知のとおり、「既婚者+子持ち」たちが集まる場所には、「独身者」たちは決して立ち入らないでしょう?ですからどうか、「独身者」たちが集まる場所にも近づかないでください。

お願いします・・・お願いします・・・お願いします・・・。

Tuesday, August 15, 2006

「恋愛」

「結婚」には縁がなさそうな私だが、「恋愛」ならまだまだ捨てたもんじゃない。
さっそく「恋愛」をGoogleで検索すると、なんと、24,500,000 件がヒットした!

その中から、「恋愛頭脳」を選び、質問に答えていくと・・・。
http://hanihoh.com/love/

表示された恋愛観分析結果によると、私の恋愛観は、「総合判断 極端 恋愛観レベル 非常識 (14段階中11番目)」で、「総合コメント」によると・・・。

「あなたの恋愛観は、まず一般のそれではありません。付き合った経験も、ドラマも漫画も何もかも参考にせず、まるで地図も磁石も持たずに砂漠を歩くような無謀な恋愛観を保っています。ひとりで砂漠を歩くうちは無害ですが、そこにパートナーができれば、進む方角を巡って衝突し、いずれ別々の方角へ歩いていくことは目に見えています。この偏った恋愛観を個性だと理解してくれる、器の大きなパートナーが見つかることを切に願います。」

総合評価をブレイクダウンした「ジャンル別のコメント」はさらにすごいことになっていく・・・。

人生における恋愛
なかなか良いバランスです。あなたにとっては、男女関係にあまり没頭するのは好ましくないようです。ヒマな人や寂しがりやな人と付き合うとトラブルも多そうですが、その気持ちも汲めればさらにあなたの恋愛観は磨かれることでしょう


社会における恋愛
目と目で通じ合う、などということはあなたにとってまやかしなのかもしれません。二人だけの世界をつくるより、まず自分が社会の中に生きているという認識が強く、人前でのいちゃいちゃや駆け落ちなどはあなたには考えられないようです


自己犠牲の精神
まさに恋愛商人。あなたは恋愛から「儲け」を出すことばかり考えているようです。相手のためにしてあげることの全てを自分の喜びとする聖人も、あなたにとってはただの獲物にしか見えないのかもしれません

ルックス
あまりに極端な面食いです。または彼氏彼女のファッションに物凄いこだわりがあるのかもしれません。これは彼氏彼女となりうる人の範囲を狭めるだけでなく、付き合ってからの「がっかり」の危険性を増大させます。まるで毎日カレーしか食べない人のように、明日はよくても長期的にはあちこち支障をきたしてくると思われます


財力
お金があれば全てうまくいく、とあなたは勘違いしていませんか?財力があればあるで良いものの、ここまで執着していると、何か大事なことを見落としたまま年をとってしまいそうです。まず「人」ありきで、その「人」の副産物としての財力に期待しましょう


安定と刺激
安定志向に偏っています。彼氏彼女を次々替えて楽しもう!とは言いませんが、ひとりの人と付き合うにしてもあまりに安定志向では愛想を尽かされるかもしれません。あなたと同じ安定志向の人と付き合えばそれこそ安定はしますが、世間の色恋沙汰から隔離された寂しさを味わうことでしょう


駆け引き
駆け引き軽視にかなり偏っています。心を開いて相手に接し、わりと信じやすいタイプのようです。恋愛テクニックとは無縁の付き合い方で、好感を抱く人も多いでしょう。ただいつも無策で当たって砕けろという姿勢ではいつか本当に砕けてしまいそうです


許容と束縛
どこまで束縛すれば気が済むのでしょうか?100人調査すれば、あなたの束縛度は3位以内確定です。あなたとデートにいけば手錠をかけられた気分になるでしょうし、同棲をすれば部屋が10倍狭く感じられることでしょう。彼氏彼女にはあきらめの早い人をおすすめします


将来への意識
かなり場当たり的です。今を「こなす」ことで精一杯になるタイプです。あなたの恋愛観は即効性を重視します。焼肉屋なのに生肉のうちに食べてしまうような短絡的行動が多いのではないでしょうか。醍醐味を知る前に「もう飽きた」と箸を置いてしまっては、大きな幸せに辿り着くことは難しそうです


あぁ、いじられ放題・・・。
「私はそんな子じゃない!」と反論したいが、サイトが相手ではそうもいかないし、不満が沸々と募る。
さあ、「結婚」「恋愛」が駄目だとわかった今、私は何を夢を見ればいいの??
「結婚」

今日はやけに「結婚」という文字がちらつくので、Googleで「結婚」を検索してみた。
するとなんと、ウェブ全体で、42,800,000 件もヒットしたっ!

「あなたの結婚適齢期をズバリ! 鑑定します。」というサイトが気に、クリックしてみた。
http://nandemo.with2.net/marry.html
簡単な質問に答えた後、「鑑定する」ボタンを押すと・・・。

「あなたの結婚適齢期は・・・33歳です。残念ながら現在より4年前だったようです。 」
「あなたの理想に最も近い芸能人は・・・福山雅治 さんです。」

あぁ、あまりにも悲しい結末・・・。
どうやら私は婚期を逃してしまった?
福山との接点はどこに??

「結婚」はやはり夢物語・・・。
気を取り直して次は、「恋愛」をサーチしてみよう。

Thursday, August 10, 2006

The Girl in the Flammable Skirt by Aimee Bender

さわりの部分 (The Rememberer) を読んだだけだが、
そのシュールさに圧倒されてしまった。
ぜひ本を購入して続きを読んでみたいと思わせる作品。
日本では 「燃えるスカートの女」 というタイトルで出版されているようだ。

The Rememberer
http://www.randomhouse.com/boldtype/0798/bender/excerpt.html

Wednesday, August 09, 2006

Beauty (& the Beast)

彼女は、首輪をして、キャミソールを着ていた。
「それ衣装?」と聞くと、「自分で買いましたぁ」、という。
私:「誰かと待ち合わせしてるの?」
彼女:「知り合いがそろそろくるはずなんですけどぉ・・・」
そのまま浮遊させているわけにもいかないという想いに駆られ、
その手をつかみ、無理やり隣に座らせる。

しばらく話していると彼女は、「私いくつに見えますぅ?」と聞いてきた。
舌足らずな話し方、肌のはり、歯並びのよさ、を見て私は、
「え~、若いよね?21歳くらいかな?」と返した。
すると彼女は、「31歳なんですぅ・・・」と恥ずかしそうに言った。
「え~、見えないよね!マジで?だって肌きれいじゃん」と私は、
周囲の男たちに同調を求めた。
「見えないよねぇ!」「若いよねぇ」を連発する男たち。
こいつら使えねぇと思ってしまう、だめな男たちばかりに囲まれている。

彼女の両腕には、たくさんの、数え切れないくらい、リストカットの後がある。
手の甲には、たくさんの、根性焼きの後がある。
「こんなに綺麗な肌してるのに、どうして、こんなことするの?」という私の問いに
彼女は、何も答えなかった。

彼女は、眠りたくない、と言う。
眠くならないように、カフェイン含有量の高いドリンクをとり、
眠気を誘うアルコール飲料は一切とらない。
彼女は、知り合いをみつけては、席を移動し、
ちょこん、とおまけのように、その横に座る。
知り合いが移動してしまえば、また、新しい知り合いを探し、
その横に座る。

私が彼女の動きを目で追っている途中に、60歳近い男性が
「一緒に飲みませんか?」と声をかける。
と同時に、40歳の男が横に座り、微笑みかけ、
たわいのない話を始めようとする。

全てがスローモーションで動いていく。
冷静なのは、私の思考だけだ。
たくさんの人がしきりに話しかけてくるが、
その言葉の全てが陳腐で、相手にする気が起こらない。

その空間の中、彼女を探す。
相変わらず、定まらない視線のまま、ゆらゆらと
人と人の間を泳いでいる。
その彼女に近づき、頬に柔らかくキスをした。
「こんな綺麗な体、大事にしなくちゃだめよ」
両頬にキスをして、彼女をぎゅっと抱きしめ、
その空間を後にした。

彼女は今頃何をしているだろう?
今夜もまた、あの空間で、泳いでいるだろうか?
それとも、自分の美しさに気づき、今頃誰か愛する人の腕の中で
想いを募らせているだろうか?

Tuesday, August 08, 2006

Am I ever gonna be satisfied?

You give it to me, but I want you to give it to me more.
And when you REALLY give it to me, I want you to REALLY give it to me more.

I never be satisfied.
With what you've given to me.

You and I are distanced.
We're thousands of miles apart.

Was I satisfied before with what you gave me?
Am I satisfied now with what you give me?
Will I be satisfied in future, with what you're willing to give me?

I always want it more than you give.
Am I ever gonna be satisfied?

Monday, August 07, 2006

Rumba - Dance of Love

今日はルンバ2回目のレッスン。前回の復習かと思いきや、前回は途中の色づけのステップを練習しただけで、基本ステップはこれからだと聞き、腰が引けた。(実は前回のレッスンの筋肉痛がまだ消えていない・・・)

ルンバは、4拍目から踊りだしたかと思ったら、1拍目を方向転換したり休んだり、奇妙なステップだった。その上、「愛のダンス」といわれているだけあって、ダンスパートナーをじっと見つめたかと思ったら 思わせぶりに外してみたり、気のないふりで横をとおりすぎながら視線だけを残してみたり、背中を向けたかと思ったら振り向きざまにまた視線を戻したり・・・。私生活ではそんなことは朝飯前なのに、いざダンスフロアーで再現するとなると、恥ずかしくてさっぱり駄目な自分がいた。

今夜も私の「アンジョンファン」には会えなかった。いつか彼と踊れる日を夢見て、今夜もステップの復習に励むことにしよう。

Saturday, August 05, 2006

「愛」がそろった日

「愛がそろってる」と、男の子が叫んだ。
彼のパパとそのGFが、同時に同じ言葉を発した瞬間に。

高校生のようにはにかむパパとその彼女を
まるでイタズラ好きなCupidのような瞳で彼は見つめていた。

この3人の「愛」がそろう日は、いつだろう?