Thursday, August 17, 2006

負け犬の遠吠え?
~「既婚者+子持ち」たちへのお願い~

都内某シティーホテル内のレストランでレイト・ランチをしていたときのことだ。ランチタイムのラッシュもおさまり、落ち着いて食事&休憩ができると思っていた矢先、隣のテーブルに30代半ば夫婦+子供が通された。夫婦は食事券のようなものをシーティング・ホストに渡し、子供用の椅子をリクエストする。子供は、多分1歳半か2歳だろう。まだ「人間の言葉」を話すことができず、変な音を発している。人間の形こそしているが、恐竜の赤ちゃんと何ら変わらない、と私は思った。運ばれてきた夫婦の水が欲しいのか、子供は両手を伸ばし、「あー、あー」と奇妙な音を出しはじる。それを見たウエイトレスが、「お子様用のお水をお持ちしましょうか?」と聞き、夫婦は、「お願いします」と言った。小さなプラスティックカップに短いストローを差した水が運ばれてくる。母親に抱きかかえられた恐竜の赤ちゃんは、母親のひざ上にボロボロと水滴をこぼしながら、水を吸い上げている。「あまりジロジロと他人を見るものではありません」と、よく母に叱られたことを思い出しながら、それでも私は隣の親子から目が離せなかった。こんなきちんとしたレストランに「怪獣」を連れてくる夫婦はいったいどんな顔をしているのか?いったいどんな人生を送ってきたのか?どんな思考回路をしているのか?

父親は中背・小太りで、モスグリーン色のゴルフ用のポロシャツを着て、ベージュ色のコットンの短パンをはいていた。サンダルだというのに、几帳面に白い靴下を履いている。母親は中背・痩せ型で、黒のポロシャツと黒の短パン。ポロシャツの襟には2本のラインが入っている。夫婦は二人とも色白でメガネをかけていて、母親はレース編みのキャップをかぶっていた。父親の横の席には、恐竜の赤ちゃんのオムツや着替えなどが入っているだろうクリーム色のキルティングのバッグと、その横には、銀座松屋の紙袋が寄り添っている。

「怪獣」が母親のスプーンを投げる。それを未然に防ごうとした母親のひじが紙ナプキンを飛ばした。金属のスプーンが大理石の床に叩きつけられた音が響く。子供を抱きかかえている母親は、スプーンと紙ナプキンを拾おうと、右手を床に近づけるが届かない。瞬時にウエイターが駆け寄り、床に広がった残骸を片付け、新しいナプキンとスプーンをセットした。その様子を冷ややかに、他人事のように眺めていた「怪獣」は突如我にかえったかのように、「あー、あー」という声を出し始め、時折「ひぃーん」や「ぐふぅーん」という音も加えた。夫婦はそんな子供の姿を目の前にして、いないないばあを繰り返す。

子供の発声には人を苛立たせる何かがある。町の騒音、たとえば、道路工事のドリルの音とか、救急車・パトーカーのサイレンの音とか、右翼団体の車から流れる音楽とか、そういうものよりずっと人を不快な(不愉快な)気分にさせる。子供が泣くこと=子供の危機ということで、それに反応するように私たち大人はプログラムされているんだろう。その昔、NYから帰ってくるとき、2つ前の席に親子が座っていて、子供は1歳未満だったような気がする。離陸と同時に泣き始め、結局14時間の飛行中12時間くらいは泣いていたのではないか?着陸態勢に入り、気体が下降しはじめるとさらにその声は激しさを増してきた。あと数分、あと数分と自分に言い聞かせて、かなきり声を聞かされるという拷問に堪えたが、あの時もし滑走路が込んでいて空中で旋回を繰り返すようなことになっていたら?きっと私は勢いよく席を立ち、泣き止まない子供の首を一気に締め上げたのではないか?というくらい、私は追い詰められていた。

ふと我に返ると、隣のテーブルの「怪獣」は母親のひざの上でゴソゴソと落ちつきなく動いていた。相変わらず冷ややかな目をして、周囲の状況をうかがっていた。あまりの不快感に胃の調子まで悪くなってきて、私は逃げるようにしてレストランを後にした。

なかなかこないエレベーターを待つ間、ホールの静寂によって癒され、気分もずいぶん良くなってきた。と次の瞬間ドアが開くとそこには、夫婦+2人の子供が乗っていた。母親は喧嘩をする子供たちを怒鳴りつけ、父親はベビーカーと家族全員の荷物を持っていた。その中に乗り込む私。3階から1階へ降りる短い時間がとてつもなく長く感じた。そのドアは永遠に開かないのではないかと思うくらいに・・・。

「既婚者+子持ち」たちに私の気持ちはわからないだろう。私は「怪獣」が嫌いなのではない。「結婚」や「出産・育児」に憧れていないわけでもない。ただ、「既婚者+子持ち」たちの強欲さにあきれてしまうのだ。これ以上何が欲しいというのだろう?愛する人に選ばれ、一生を神前で近い、祝福され子供を授かり、社会からも信頼を得、地位を獲得し、自分という存在の中にいくつもの役割を見出し、心身ともに充実し・・・。これ以上何を望むのだろう?

「既婚者+子持ち」 の方々にお願いします。「独身者」たちのテリトリーに入り込まないでください。「独身者」たちのささやかな幸せを羨まないでください。家庭という安住の地を得たからには、独身時代の快楽からは足をあらってください。一度は「独身者」だったのですから、どうぞ思い出してください。美しい空間は、「独身者」たちの恋のバトル・フィールドなのですから、生活臭を撒き散らすのはやめてください。戦闘服を身にまとい、これから始まる戦いを目前に精神統一をしているハンターたち(=独身男女)の戦う意欲を殺ぐのはやめてください。ご存知のとおり、「既婚者+子持ち」たちが集まる場所には、「独身者」たちは決して立ち入らないでしょう?ですからどうか、「独身者」たちが集まる場所にも近づかないでください。

お願いします・・・お願いします・・・お願いします・・・。

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