Wednesday, July 23, 2008

夏の怪談

化粧をして、着替えを終えた後
「帰ってきても、このままベッドにいてね。」って彼の頬にキスすると
「こわいよ。 オカルトだよ。」って彼は子供のように怯えた顔をした。

だって、大切なお人形なんだもの。 
どこにもいかないでね。
他の人に触られたくないんだもの。
キレイなお姉さんにさらわれたりしたらイヤ。
ずっとこのままベッドのなかにいて。
ね、いいでしょう。

鍵を持って、出かける寸前の私の背中に向かって
「仕事頑張ってね。 オレの分もね。」って彼は仕返しのつもりで言って
私が怯えるのを期待した顔をした。 でも私は・・・

うん、頑張る。 
そうだ、パトロンを5人くらい集めればいいんだ。
ひとりにつき、月に3回くらい会って
ひとりにつき、お手当てを月に15万くらいもらって。 
ほら、そしたら、今の仕事のお給料もあるし
2人で余裕で生活できるでしょ。

そんな非現実的な計画を口にだしたら、きっと彼は
「こわいよ。 オカルトだよ。」って怯えるから、グッとこらえて
もう一度彼の頬にキスをして、そのままサクっと家をでた。

あぁ、『男に貢いじゃう女』ってこういう感じなのかなぁ。
なんか、わかるような気がするなぁ。

「こわいよ。 オカルトだよ。」
駅までの道、何度も何度も繰り返しながら、自分を戒めた私。

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