Sunday, April 13, 2008

偉大な想像力
(妄想でこれだけ書けるってすごくない?)

---Beginning of story---
あなたは寒いって言って、子供みたいな弱々しい顔で目を閉じた。 そんなあなたの表情をみた瞬間、私の中に眠る母性が疼いちゃって、掛け布団をあなたの耳のすぐ下まで隠れるくらいまで引き上げて、布団の上からあなたを抱きしめた。 寝汗をたくさんかいたから、それが冷えてしまって、体温が下がってしまったのね。 それに昨夜はたくさんお酒を飲んだから、脱水症状を起こしていて、だから吐き気もするし、頭も痛いのよ。 昨日飲んだソルマックは効かなかったの? バファリンあるけど飲む? 

ホントは何かあなたが安心するようなこと、例えば、旅行中にみたきれいな景色の話とか、幼少時の懐かしい思い出とか、これからふたりで過ごす未来の計画とかを、話してあげれば良かったのに、「砂漠で死ぬときは脱水症状なんだって。二日酔いと同じ症状で死んでいくんだって。知ってた?」 なんて、(気持ち)瀕死のあなたには残酷な話をしてしまった。 あなたはそれを聞いているのかいないのか、ヒーターをつけて真夏のように暑くなった部屋の中だというのに、真冬のNYのストリートを歩くみたいに身体を固く縮こまらせて、小さく震えてた。

抱きしめてよっていわんばかりに、あなたは寝返りをうって私に背中を向けた。 いつもは力強くて頼もしい背中がその時はとても小さくみえたから、背中にぴったり寄り添い後ろからぎゅっと抱きしめた。 あなたの身体は汗でしっとりしていてとても冷たくなっていたから、私はものすごく不安な気持ちになって、抱きしめてるだけじゃだめだと思って、体のあちこちを擦りはじめた。 しばらくして私の手はあなたの体の一部分に落ち着いて、私はゆっくり動かし始めた。 


そうしているうちに、あなたは少し元気になったのか、私のほうに向き直り、両手で私の頬を抱え込むと、ゆっくり顔を近づけて、唇を重ねた。 元気になって良かったと少し涙ぐみながら、こんなに好きになっちゃって困ったものねと思いつつ、あなたを失うことになったらどんなにつらいだろうと想像してどーんと悲しくなった。

「その想像力なんだろうな」 

ものすごくお気楽な想像をして、天下を取ったような気分になっちゃったり、ありえるわけもない想像を次々に重ねて、最悪のシナリオにたどり着き、息も絶え絶えになっちゃったりする私。 医学的にはそういうの、躁うつ病っていうんだっけ? でも私は間違えなく健康で(でしょ? でしょ?)、でもなんでそんな風になっちゃうのかなとずっと悩んできた。 他の人が簡単にできることができなかったり、他の人は簡単にできないことを楽にやってのけちゃったりね。 どこかがいつもちぐはぐで、ココロとカラダがいつもズレてる感じで、そうやってずっと生きてきたから、今はもう慣れちゃったけど。 あなたがそれはよくも悪くも想像力のせいなんだろうって言ってくれた時、そんな風に分かりやすく私のことを説明してくれた人は、精神科医の友達F以外にはいなかったから、すごくびっくりして、そしてものすごく安心して、泣きそうになった。 


あなたになら、もしかしたらわかってもらえるかもしれない。 つじつまの合わない言動や、奇妙な夢の話や、自分でもどうしたらいいのか分からなくて持て余してしまう心の動きや、誰にも話せなかった欲望や、私が私になっちゃった理由なんかも、あなたならきっと驚かずに、聞いてくれるかもしれない。 そして私に分かりやすい言葉で的確な説明をしてくれて、私を安心させてくれるかもしれない。

なぁんて思って、この人なら大丈夫と思って、少しずつ心を開いていって、でもしばらくすると、その心を粉々にされちゃいそうな気配を感じて、また心を閉じていく。 あぁいつもその繰り返し。 それもきっと、あなたの説明によると、私のこの偉大な想像力のせいなのかもしれないね。 


じゃぁ一生、ダメなのかな。 誰かと一緒にずっといることって、私には出来ないのかな。 あぁ、でも、この偉大な想像力のお陰で、よくもわるくもアップ&ダウンが激しい私の人生は、退屈な影が降りる心配なんてこれっぽっちもなくて、この年になっても物語に欠くことなく、おぉかなりエキサイティング。 そんなに悪くないじゃーんと思う私は、結局やっぱり、お気楽な性格。
---End of story---

もう二度と会えないかもしれないって思った彼から、たった今メールが届いた。 あれ、もしかしたらまた会えるのかなー、なんてちょこっと浮かれたりして、シャンパン飲みながら、幸せな日曜日。

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