Sunday, August 19, 2007

Flashback



シンディローパーのGirls Just Want To Have Funが爆音で流れる。 私の背中を守っている彼が言った。 「すぐ戻ってくる、そこから動かないで」。 私にというより、私の回りにいる男たちに対して、「触るな」と念を送っているようだった。 大きな体をした彼が私に関してはとても心配性なのが可笑しくて、思わず吹き出した。 「大丈夫、何処にもいかないから、心配しないで行ってきて、そして早く戻ってきて」。

彼の指先がいつまでも名残惜しそうに私の背中に触れている。 やっと決心したように私の背中を離れる瞬間、彼がポツリと言った。 "You're mine." 「いいえ、私はあなたのものではないわ」 そう笑いながら言い返す私に、少し離れたところから彼が叫ぶ。 "You're mine!"

離れていく彼の後姿を見つめながら、そうであったらどんなに楽だろうとため息をつく。 お互いが抱える現実はあまりにも違いすぎる。 悲しいかな、私にも彼にもパートナーはいるというのに、気軽にそれでも本気で、 "You're mine" とはとても言えそうにない。 そんなことを考えていたら思わず泣きそうになる。 バーカウンターの後ろに張られた鏡には私が映っている。 "What am I doing here?"

隣に男が滑りこんできて言った。 「何か飲みませんか?」 邪魔だなぁ、消えてくれないかなぁと心の中で念じていたら、フッと男の気配が消えた。 安堵した次の瞬間、背中に感じるあたたかい気配で、彼が戻ってきたことを知る。 私を背後から囲む姿勢で、ごった返している店内で私を守ってくれている。

彼といると私は、絶対的な安心感に包まれる。 彼の視線の先には必ず私がいる。 私の一挙一動に一喜一憂する彼がいる。 今この世界に何が起ころうとも、彼が側にいれば、きっと大丈夫、必ず守ってもらえるという確信が私にはあるから、不思議だ。 一体なんだろう、この感覚は? 出会ってすぐに彼が 「僕は君を決して傷つけたりはしない」と誓ったから? それとも私たちには前世からの因縁か何かがあるのだろうか? 彼の声が頭の中でリピートされている。 "You're mine....You're mine....You're mine...."

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