Sunday, May 10, 2009

ブランコ

最後にブランコに乗ったのは、32年くらい前のこと。
今夜、公園で、ブランコに乗ってみた。

40歳の独身女性がブランコに乗るって、
周囲から見たら、奇妙な光景だと思う。

すぐ横を走る東横線の窓からわたしを見た人は、
ブルって一瞬、震えながら、
何かに酔っているんだって思ったかもしれない。

でもわたしは酔っ払っていなかったし、
むしろいつもよりずっと覚醒していた。

女の子らしくちょっと恥じらいながら、
キーコ、キーコとこぐのではなく、
男女の区別がはっきり見えなかったころのように、
カラダ全体を使って、ビュン、ビュン、
思いっきり揺らして、超・高速にした。

ブランコは、いったりきたりするだけの、
ものすごく単調な動き。
途中で前後の動きが左右に変わるわけじゃないし、
鎖が切れてどこかへ飛んでいくわけじゃないし、
空中にポッカリ時空を超える穴が開いて、
そこに吸い込まれていくわけじゃないのに、
なんで、だいたい、乗るんだろう。

わたしはずっとずっとずっとずっと、
揺らし続けて、そして気づいた。

ブランコは、ただ純粋に、楽しいんだ。
だから乗るんだってことに。
だからこぎ続けるんだってことに。
だから降りたくないんだってことに。

それに気づいたら、ものすごく嬉しくなって、
わたしは、声を出して笑い出してしまった。

楽しい、楽しい、楽しい、楽しい・・・。

大人になったわたしは、時に、物事を複雑に考えてしまって、
目の前に広がる世界は、ものすごく深刻で怖いものに見えるけど、
ちょっとだけスローダウンして、たまにはブランコに乗ったりして、
そうすれば、実は複雑に見えた物事は、
シンプルなものが重なりあっているだけで、
目を凝らすと、そのひとつひとつはものすごくユニークで、
それが美しい世界を作り出してるっていうことに気づく。

そんな気がした。

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