Tuesday, December 02, 2008

洗脳

あの頃の私は、自分と自分を取り囲む人間たちだけが、特別素晴らしい知識を得て、それを実践しているという優越感に酔っていた。 自分たちとは違うルールで生きている人間たちが小さく見えて、間違った選択を繰り返している愚かな人間たちに見えていた。

家族で食卓を囲んでいても、自分だけが清らかなものだという(勘違いも甚だしい!)思い。 お茶をすする母や祖母、お酒を飲む父、タバコを吸う妹、弟を、「汚い」と思ってしまった私。 

洗脳されていることに気がついた瞬間は、実に、なんてことのない、静かな時間の中にあった。 私は当時20歳。 渡米を数日後にひかえて、祖母の姉夫婦の家に挨拶に行ったときだった。 その、「気づき」は、お茶を勧める祖母の姉のしわくちゃな手を見た瞬間にあった。 彼女の手の中にある飲み物は、ただのお茶ではなくて、彼女の愛情がいっぱいつまった「もてなしのココロ」なんだと気がついた。 それを断ろうとしていたなんて。 汚いものだと思っていたなんて。 

洗脳は誰でも陥る可能性がある。 洗脳の始まりはきっと誰も気づかない。 洗脳の恐ろしさは、洗脳されているということに全く気がつかないこと。 それに気がつかせてくれるのは、自分の近くにいる人たち。 自分を、あるがままの自分のままで、愛してくれている人たち。 

だから、チョクチョク、自分の立ち位置を確認したほうがいいね。 で、「あれ? なんか最近、おかしくない?」って、自分の周りにいる、自分を想ってくれてる人たちがいったとしたら、ちょっと疑ったほうがいいかもね。

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