Monday, June 09, 2008

As Long As We Last

あの日、私は他の男の子と、あなたは他の女の子とご飯を食べていた。 そろそろ夜も更けてさあこれからどうしようという頃、あなたからメールが届いた。 「今から行っていい?」

目の前の男の子はまだお会計もしていないし、これから二軒目に行きましょうと今にも誘いそうな表情をしている。 あぁ、あなたはとっくに私の駅についているというのに。 階段に座ってずっと私を待ってるというのに。 「早くあなたに会いたい」 その一心で、お会計をしている男の子にものすごく淡白な「ごちそうさま+ありがとう+たのしかった+おやすみなさい」を残して、逃げるようにしてタクシーに滑り込んだ。

最寄駅までのタクシー・ライドはほんの5分だというのに、そんな短い時間ももどかしい。 やっとのことで電車に飛び乗ると、あいにくそれは特別快速で、あなたの待つ私の駅には止まらない。 あぁこれでまたあなたに会うのが数分遅くなってしまう。 あぁどうしよう。 そんなの耐えられない。 一分一秒でも早く会いたい。 「一つ前の駅で集合しましょう」 そうあなたにメールした。

駅に着いたとたん、酔っ払って足元はふらふら、視界はぼんやりしているというのに、私はスイスイと人ごみをすり抜け、階段を軽やかに駆け下り、あっという間に改札にたどり着いた。 正面口を出てすぐのところに立っているあなたの背中を見つけた。 「お待たせ」っていつもより少し大きな声で呼びかけると、振り向いたあなたはいつもどおりの優しい笑顔。 その瞬間、嬉しくて、もうたまらなくて、あなたに飛びついた。 「おいおい、人が見てるよ」って照れるあなた。 でも私はそんなのお構い無し。 世界中の人に知ってほしい、私があなたをどれだけ好きかってことを。 あなたのカラダからは、懐かしい匂いがした。 あなたを抱きしめるといつも温かくて、「やっと家に帰ってきた」っていう感じがする。 

どこでもいいと思っているときほど、なかなかお店は見つからない。 最初に向かった店は喫煙席が空いてなくて、次の店はもうすぐ閉店時間で、あぁどうしようと思いながらフラフラ歩いていると、ちょっと落ち着いた感じの沖縄料理屋があったので、そこに入ることにした。

大きなテーブルを挟んで座る私たち。 今すぐ触りたいのに、あなたは遠くて届かない。 空席の目立つ店内で、今さら横に並んで座るのもおかしいし、あぁどうしよう。 そう私が密かに困っていると、あなたがジャケットを脱いだ。 こっちにおく?って私が言って、あなたのジャケットを静々と受け取り、しわにならないようにゆったりと隣の席に置くつもりだったのに、心とカラダは裏腹で、気がついたら私は、あなたの香りが染みついたジャケットをギュっと抱きしめていた。 あぁ、愛しい。 あなたに関するものは全て、愛しい。

「海ぶどう、食べたことある?」ってあなたは言った。 目の前のそれは、ものすごくグロテスクなルックス。 あぁ、でもこの調子だとまた、いつもみたいに食べさせられちゃうのかな。 私が一瞬へこんだのを確かめてからあなたはいたずらっ子みたいな顔で、「美味しいから食べてみなよ。 またどうせ、いつもみたいに、食べたら美味しいっていうよ。」って言って、「海ぶどう」を指ですくって私の口まで運んだ。 そんな気持ちわるい食べ物、ホントは食べたくない。 でもあなたの指がすぐ目の前にあって、私はあなたの指を舐めたいと思ってるんだから、仕方ない。 あなたの指ごと、そのぬるぬる・ぷちぷちした不思議な食感の「海ぶどう」を口に含む。 しばらく舌の上で味わった後飲み込んだ私は、あなたの読みどおり、「あぁ美味しい」って言って、それを聞いたあなたは、「ほら、そうだろう」って得意げに笑った。 あなたと一緒だと、食べず嫌いがどんどん治っていく。

そうこうしているうちにあっという間に朝になってしまった。 もう何万回も見た映画のシーンみたいに、あなたがシャツに腕を通すのを眺める私。 見慣れたシーンなのに、なぜかその日は、胸がキューンと痛くなって、そんな自分がものすごくイヤになってつい、「何か私たち不倫してるみたいね」って言ってしまって、そしたらあなたは一瞬、変な顔をしたけど、一秒もしないうちに、「なにいってんの。そそそそそんなことあるわけないじゃん。どどどど独身だよ。」って言って、それがものすごく可笑しくて、二人で笑った。

あなたはいつも、私が投げかける問いを、正しく受け止めて、私の期待以上の答えにして投げ返しててくれる。 それがものすごく面白くて、あぁしんどいと思う日があっても、やっぱりあなたに会いたいと思ってしまう。  いつまで続くのか分からないけど、あなたとは、一緒にいられる最後の日まで一緒にいたい。 

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