Sunday, April 27, 2008

気持ちよくなりたい

今日は (待望の!) ドンペリ飲み放題ブランチ@『45』リッツカールトン。 店内には、キレイに着飾った女の人たち3~4人のグループが9割。 カップルが1割。  シャンパンを飲みながら頂いたのは、前菜、卵料理、メイン、(別オーダーで)チーズ盛り合わせ、そしてデザート。  ドンペリは相変わらずキレイで美味しかったし、お料理だって洗練された味&ディスプレイで、まあもちろん不味くはないし、45階の窓から見渡す景色は素晴らしくて、まるで天上界にいるみたいな気分になっちゃう。 


でもね、残念なことにサービスがね、レセプショニストから始まって、フロアーマネージャー、ウエイター・ウェイトレスの態度がよろしくない。 日本ではよくあることなんだけど、「おいおい、どっちが客だよ」と思わせる接客態度に、「あー、またかよ」 とガッカリ。 勘違いしているのね。 「生まれたときからずっと世界のファイネストに囲まれて生活してきました」 っていうお客様が多いリッツだから、従業員たちもそういう雰囲気をかもし出そうとして精一杯の努力をしてるんだと思うんだけど、想像力に欠けるのか、経験値が低いのか、愛想のない機械みたいな態度で、これじゃちっとも感じない。

シャンパンなんて飲んでると、世界一偉くなったような気分になっちゃうから、それを察してそれなりに尽くして気持ちよくして欲しいんだけど、そういうことの出来るスタッフはいなかった。 そういうプロフェッショナルは、きっとこの国には育たないんだろうな。 だって、そういうことを期待してそれを言葉にしてお願いするっていう、そういうお客様がいないから。 お店の提供するジェネラライズされたサービスで満足してしまって、パーソナライズされたサービスを受ける気持ちよさを知らないお客様がほとんどなんだもの。 お願いしたらもっと気持ちしてもらえるのに。 


だから私はいつもお店に、想定内だけど計画外っていうリクエストをする。 そういうシチュエーションになった時、お店とお客様の間に、ユニークでトクベツな関係が発生するって分かっているから。 それはとても気持ちのいいことだって体感しているから。 そして本来はそれが、あえて 「外食する」 ことの理由だと思っているから。 それがないんだったら、有名店のすでにパックされているお料理をデパートで買って、「家食」 したほうがいい。 でもたぶんそういうことが分かっていないお客様が多いから、(日本の)お店のサービスは一向に良くならないんじゃないかな。 「ああ、そこ、気持ちいい」 って言われたら、よっしゃ!って誰だって頑張るじゃない?? 

今回みたいに、嫌いな食材を外してもらったり、コースには含まれていないチーズの盛り合わせをオプションで追加したり、メニューにないバニラアイスクリームをデザートにお願いしたり、制限時間を30分もはみ出していてももう一杯だけとシャンパンを注いでもらったり、そういうことはリッツだからじゃなくて、実はどこのお店でもしてもらえるはず。 そういうことをするといやな客だなあと思われるからと、しない人が多いんだろうけど、(この国の)お店のサービスはマニュアルどおりの表面的なものでちっともそれじゃ感じないから、あえて私はする。 それは、「お金を出してるんだから」 なんて高飛車なものなんかじゃ決してなくて、もっとお店と交わって 「気持ちよくなりたい」 から。 お店だって、お客様から 「気持ちよかった」 って言われたら嬉しいし、自信になるでしょ? 


シェフの方々が頭をひねって考え出した 「完璧なバランス」 のお料理なんだから、それをイジラズにそのまま頂きたいとは思うけど、そこに私の嫌いな食材が入っていたら、せっかくのその完璧なお料理も私にとっては 「ちょっと不味い」 と感じてしまうから、だったら食材を変更してもらって 「美味しい」 って思ったほうがいい。 どうせ完全にフィックスされたコース料理じゃなくて、前菜やメインなんかを選ぶことが出来るようになっているんだから、だったらその流れの途中で 「食べたいな」 と急に思ったお料理を付け足してもらったっていいじゃない。 せっかくパティシエの方々が腕をふるったデザートの数々なんだし、それを食べないのはホントに申し訳ないとは思うけど、シャンパンをたくさん、ホントにたくさん飲んだ後、口の中が麻痺してるっていうのに、味を重ねづけしたゴテゴテしたデザートなんて食べられたもんじゃない。 アイスキューブをネチネチと口の中で弄びたいという気分で、ホントはグレープフルーツとかライムのシャーベットかなんかを食べたいんだけど、それはちょっと面倒なリクエストだって分かるから、間違えなくあるだろうっていうバニラアイスクリームをお願いしてるのよ。 

そういうリクエストをする時になってはじめて、お店のスタッフはマニュアルどおりの台詞ではなくて、自分自身の言葉を使って私と対話するようになる。 それまでマニュアルどおりに配膳するだけだったロボットみたいなスタッフが、一人の男・女として私と交わり、「ここはどうですか? 感じますか?」 と私が気持ちよくなるように尽くしてくれる。 それはユニークでスペシャルな体験。 そして全てが終わった後、家に帰るタクシーの中で、その体験の一部始終を思い出して、「気持ちよかった」 と思えたら、それはいいお店の証拠!!

大学の授業にあったでしょ、「心理学101」 とか 「国際政治101」 とかのエントリーレベルのコース。 お店で食事をした時に 「美味しい」 と思わせてくれることは、「外食101」 みたいなもので、これは当たり前だから (実はこのコースを取っていないお店も日本にはたくさんあるんですけど) 私が期待しているのは、「外食101」 をパスしたお店じゃない。 「美味しい」 のその上に、「気持ちいい」 と思わせてくれるお店。 それは 「外食201」 をパスしたってことなんだけど、残念ながらそういうお店は日本にはとても少ない。 だから私のミッションは、これからも今までどおり、「他人の感じるスポットはどうでもいいの。 私が気持ちよくなるのはココなのよ」 って経験の少ない男の子に説明するように、ものすごく分かりやすい言葉で優しく微笑みながらリクエストをして、(日本の)お店のサービスアップのために、尽くして(サービスして)いくこと! 


なーんてことを、芝生に横たわりながら、青い空を眺めながら、考えてた。 そして、やっぱり 「カシータ」 は素晴らしいお店だったなあと、気持ちよかったなあと、思い出していた。



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