９月限定　「晩夏色」　

今朝、鍵を締める瞬間、指先のネイルに目がとまった。　青い海、青い空、白い雲を思わせる夏色のネイル。晩夏の台風の到来には似合わないような気がした。

晩夏といえども、日中の気温は相変わらず真夏の時とほとんど変わらない。湿度については、真夏よりも、梅雨時よりずっと、高い。　しかし、台風が連れてくる高温高湿の空気には、絶対的な何かが欠落していて、しっかりと夏の終わりを伝えている。　

東南アジアを思わせるような熱風が、ビル群の隙間に重く溜る。　高いビルとビルの間の路地を歩くと、乳間を、尻下を、首すじを、じわっと汗が滲み出し、あっという間にビーズのように転がり流れ出す。　髪は顔に、首に、肩に張り付き、クーラーから出る温風になびいてもまた元の位置に張り付いてしまう。　私の中の不快指数を図るメーターはとっくにマックスを振り切っている。

不快感をぶっとばせ～っ！と即決、いつもお世話になっているサロンへ行って、ネイルの色を変えてもらうことにした。台風が首都圏直撃するっていうのに、ボルドーなんかの「初秋色」にはまだ早いでしょう～？　だから、ベースはクリアー、中央にフラペチーノ、先端にゴールドを乗せてもらった。　名づけて「晩夏色」。　９月限定で、この色、流行らせません？