Thursday, November 26, 2009

和風スナック「みつこ」

彼と蒲田のファミレスでご飯を食べてるとき、父が現役時代に毎日通った店・和風スナック「みつこ」に行ってみたいと思った。

そこで、父に電話してみたものの、寝ぼけていたのか、「ガード下」とか「駅のすぐそば」とか、あまりピンとこない返事。 彼が、「JRの? 京急の?」というから聞いてみたものの、「えーと・・・」と歯切れの悪い答え。 

有力な情報をもらえないまま電話を切った後、彼が、自慢のiPhoneで「みつこ」を検索。 だいたいの場所が分かった。 タクシーに乗り込みGo!

タクシーの中、「お父さんとの話し方でわかるよね」と彼。 どうやらわたしが父と話す様子を見て、ちょっとわたしのことを見直してくれたみたい。 なんかホクホク、あたたかいキモチ。 

飲み屋が集まるストリートの入り口で降りて、歩くこと約1分。 入り口に「みつこ」と書いてあるお店を発見。「ここだよね」「ここしかないよね」 つないだ手にぎゅっと力を入れて、意を決して、引き戸を開ける。

わたしの長年の想像の中の「みつこ」ママは、ものすごい悪女で、日陰の女を演じながらお客さまをたぶらかしてがっぽり儲けてるっていうイメージだったんだけど、いい意味で裏切られた。

実に素朴で、やわらかい雰囲気。 着飾るわけじゃなく、でも貧相な感じでもなく、なんていうか、ものすごく普通で、でも所帯じみてるわけでもなく、でも水商売バリバリっていうわけでもなく、なんていうか、ああいうママさんって、今までみたことないな。

カウンター10席くらいの小さな店なのに、常連さんと思われるお客さまでほぼ満席。平均年齢は・・・60歳くらい。 40歳のわたしが最年少だった。

とりあえずビールを注文した後、ママさんに告白。 「ここによく通っていた〇〇の娘です」 すると、ママさん&常連さんたちは仰天&超・ハイパーに!

ママさんは、「本当にいい人!」を連発。 隣に座ってた70代の京都出身の男性は、「議論好きなんだよな」と懐かしそうな表情。 「歌が上手くてね、『小樽の女』とかよく歌ってらしたのよ」「お客さまもたくさん連れてきてくださって」と常連の方々がこぞって父のことを大絶賛。 

彼は常連の(大先輩の)お客さまたちに、「独身か?」と聞かれつい、「はい」と言ってしまったため、質問攻めにあうはめに! 「お父さんにはもう会ったのか?」 「こんな可愛い彼女なんだから大切にしなくちゃダメだぞ」 ああ、なんか大変なことになってきたあ。

彼の隣には、41歳の就職活動中の、(不倫関係の)彼と一緒に来店したっぽい女性。 彼が彼女に、就職のアドバイスをしている間、わたしは京の男とタメ口で話し込んだ。 何度も彼に、「おいおい、先輩にそのクチの聞き方はないだろう!」と注意されたけど、京の男とママさんに、「そこがお父さんも娘さんもいいところなのよ」ってかばってもらって、わたしは、ふふん!と上機嫌。

常連さんのひとりは、「うちの息子に(お嫁さんに)欲しいわ」とかなり本気モード。 別の常連さんは特大板チョコをくれた。 「おとうさんもこれ、よく持って帰ったでしょう」と言われ、ああ、そうだった、家にはこれ、あったよなあ。ああ、なんか、泣きそう。

京の男が持ち込んだ「どぶろく」を分けてもらった。それをチビチビすするわたしを、彼が心配そうに見つめてる。 「大丈夫? (どぶろく)飲まないだろ?」っていう彼に、いえいえ、気分がいいから、どんなお酒でも今夜は大丈夫なのよってヘラヘラ笑いながら、ビール、ワイン、どぶろくのグラスに交互に口をつけるわたし。

23時ちかくになり、そろそろ帰ろうということに。 彼もわたしもニコニコしながら、「おやすみなさ~い」「ごちそうさま~」って言いながら、店を後にした。

帰りのタクシーの中で彼が、「あれで(独身だっていったこと)良かったのかな」っていうから、「みんな、『いい男だ』って言ってたよ」って言うと、「そうだろ。 オレのこと、悪い男だっていうやつ、いないからな」って得意顔。 も~っ、ママさんも常連さんも、(独身だっていったこと)ウソだって分かってたんだよ。 でもみんな優しいし、わたしたちが仲良くしてるから、それでいいって思ってつっこまなかっただよお!

父は健在なのに、なんだか偲ぶ会みたいになっちゃった(笑)。 それにしても、うちの父は「すごい男だなあ」と改めて父に対する尊敬の念が増した。 いろんな男性を見てきたけど、うちの父って、やっぱ、いい男だわ。 そんな父の娘でよかったなあとつくづく思ったわたし。

和風スナック「みつこ」の場所はこちら!

No comments: