Friday, June 12, 2009

肩越しの景色
















静寂の中、彼がわたしを抱き寄せ、わたしたちの服が擦れる音が周囲に響いた。

彼の肩越しに、何千年も変わることのなかった景色が広がっている。 わたしはそれを穏やかな気持ちで眺めていた。

彼はわたしから少し離れ、そして1秒後に、
小鳥のようなキスをした。

「これが、今、僕が見ていた景色」  


彼はゆっくり180度転回する。 わたしたちの位置が逆転して、彼が見ていた景色をわたしが、わたしが見ていた景色を彼が見ることになった。

ああ、どうして彼って、こういう風に、いつも痒いところに手が届いちゃうんだろ。 

「このままずっと時が止まってしまったらいいのに」 

わたしは心のなかでそっとつぶやいた。

No comments: