Sunday, September 09, 2007

先生の指の香り

10日くらい前から、右目の下瞼に違和感がある。 下瞼の淵には小さな白い突起物があり、瞼をめくると赤く炎症を起こしていて、押すと痛みがある。 眼科に行こう、行こうと思いつつ、なかなか行く機会がなく今日になってしまった。 日曜日でも診察してくれる眼科が自由ヶ丘にあるというので、自転車を走らせGo! 

メガネストアーと一体になった眼科はビルの9階にあった。 診察前に、簡単な問診、視力&眼圧測定をしてもらい、待合室で待つこと30秒、診察室へ通された。 

先生は女性、30代後半から40代前半。 スキニーな体型とキツネ顔は、今時流行の西川先生のようでまさに「美人女医」。 先生は、狭い診察室の中、私に90度の角度で座っていた。 先生は顕微鏡の前に私をセットすると、私の目を覗き込んだ。 先生には何が見えているのだろう? 私の心の奥底まで見られてしまっているような恥ずかしさを覚えた。 先生は、光を当てたり、角度を変えたりしながら、私の右目下瞼を見た後、何やら液体を目に差しんだ。 そして、綿棒で局部を押しはじめた。

「油の出る線が詰まってるので押し出します・・・今日は点眼薬を出します。 これで痛みは取れると思いますが、しこりが残るようならまた来て下さい」 先生は笑いもせず、私と視線を合わせることもなくそう言い放ち、机上のカルテに向かい、ペンを走らせた。 

診察時間中、先生は私と一度も目を合わせなかった。 先生は顕微鏡を通して私の目を見つめただけで、裸眼で私を見つめることはなかった。 私が「ありがとうございました」といいながら診察室を出るときでさえも、先生は私を見ることはなかった。 

待合室に戻り、支払いをして、エレベーターに乗り込んだ瞬間、綿棒で局部を押してもらっているとき、先生の指先からは、柑橘系のキャンディーの香りがしたことを思い出した。 あのキツネ顔の美人女医は、キャンディーの香りのオイルを甘皮にすりこんでいるんだろうか? それとも、キャンディーを舐めていた男に、指をくわえさせたのだろうか?  

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