Tuesday, March 08, 2016

最後のリュープリン注射

先日2月19日(金)、乳がん治療(=ホルモン治療)のひとつが終わりました。この2年間、四半期に一度、お腹に打ってきた「リュープリン注射」の最後(計8回)が終わりました。 

私の乳がん治療は以下2つです。
(1)「リュープリン注射」により女性ホルモンを止めること。
(2)「タモキシフェン(経口薬)」により女性ホルモンとがん細胞が結びつかないようにすること。

(1)の「リュープリン注射」は、術後1ヶ月目から始めました。そして、すぐに生理が止まりました。 (2)の「タモキシフェン」は、術後1ヶ月半目から始めました。そのあたりから、副作用として、更年期障害の症状が現れはじめました。最初の数ヶ月は、鬱がひどく、「消えたい」と思ったりしました。その後は、ホットフラッシュ、発汗、鬱、手足のかじかみ、関節痛、肩こり、性交痛・・・等に苦しみました。やさぐれて、側で支えてくれていたBFにあたることも多かったように思います。

乳がん治療というと、世間は、点滴を思い浮かべると思います。実際、点滴の治療を受ける方は多いと思いますし、私も薦められました。でも私は、その副作用(吐き気、脱毛等)が大きいことを知っていたので、なんとしても避けたいと思っていました。結果、高額な遺伝子検査(=アメリカに細胞を送って検査してもらいました)をし、点滴による治療が効果的ではないということが判明したため、ホルモン治療だけでいこうということになりました。

振り返れば、長いような短いような、中身の濃い2年間でした。点滴の治療をして、その副作用で髪が抜けたりすると、世間は驚くと同時に優しくなるんじゃないかなと思います。でも私のように、ホルモン治療をしているだけだと、副作用は目に見えづらいですし、世間は「もう治ったんだね」という感じで、扱いが軽いように感じます。でもぜひ分かっていただきたいのは、点滴も注射も、「抗がん剤」なんです。どちらの治療法を選んでも、がんと戦っていることに変わりはありません。点滴は最大で6ヶ月ですが、注射は2年間で、どちらも副作用があります。苦しみや痛みの許容量は、ひとそれぞれなので、どちらの治療法が苦しいとか楽だとか、それは比べれらないんじゃないかなと思います。結局、どちらも辛いと思います。

今の日本では、12人に1人の女性が、乳がんを発症すると言われています。皆が高額な遺伝子検査を受けられるわけもなく、先生に薦められるまま、疑うことなく点滴の治療をしてしまうんだと思います。でも、自分の体ですから、自分の納得できる治療法を選択したいと私は思い、そのようにしました。

実は先日の検診で、「リュープリン注射は、5年間にしようという流れがある」と、主治医に言われました。「延長しませんか」と暗に言われたわけです。で、私は即答しました、「いいえ、けっこうです」と。5年間治療した場合の生存率が上がるというデータがあるのはわかります。でもそれはあくまでもデータで、私のケースがそこに当てはまる保証はないのです。たった2年間、されど2年間、もう十分頑張ったと思います。100%生存率が上がるわけじゃないというのに、これ以上この苦しい治療を続けるのはもう本当にイヤなのです。

今後ですが、これから3年間、経口薬(=タモキシフェン)での治療を続ける予定です。それが終わった頃、再発がなかったなら、聖路加でボランティアがしたいと思っています。私も術後にボランティア(=乳がん経験者)さんとお話する機会があり、抱えていた不安が軽減しましたし、ボランティア(=乳がん経験者)さんが健康を取り戻している姿をみて、未来に希望が持てそうな気がしたという経験がありますので、私も同じように、お役に立ちたい、ご恩返しがしたいと思っています。これから手術をする人たち、手術が終わった人たち、そういう人たちの対話の相手になりたい、明るい未来を描けるように、身をもって示してあげたい、何かしらの手助けがしたい、と思っています。また、具体的には、点滴の治療を避けるための道もあるということ、もっと患者主導の治療をしたほうがいいということを、伝えたいと思っています。

最後に、この2年間、ずっと支えてくれたBFに心から感謝しています。本当にありがとう。ひとりでは絶対にここまでこれなかった。Thank YOU!


No comments: