Friday, December 28, 2012

Accident

「アクシデント」というものは、その名のとおり、 不意の出来事です。誰も、それを予測することはできないし、回避することはできません。

今日、ちょっとした「アクシデント」が起こりました。そしてわたしは、「想像できることは起こらない」と言った元彼の言葉を思い出しました。

あの日、わたしたちは、フィラデルフィアへ1泊2日の旅行へ行きました。いつもは車移動だったのですが、ふたりで電車に乗り、タクシーを使って、映画「ロッキー」に出てきた、ロッキー・ステップ(=フィラデルフィア美術館正面玄関階段)を見に行きました。フォーシーズンズホテルにチェックインし、小瓶のワインで乾杯をし、さあ、今夜のディナーはどこへ行こかと話していたとき、楽しい時間がこれから始まるだろうと思っていた矢先、彼の携帯が鳴りました。そしてそれから一晩中、彼は電話であちこちと連絡をとり続けることになりました。わたしたちの描いていた楽しい時間とはまったく違う時間が始まりました。

プリンセス・ダイアナが亡くなったのです。

その「アクシデント」以前、彼はいつも、「最悪の状態」を想像していました。何かが起きたらすぐに連絡がとれる場所にいないといけない。こんなことが起きたらこうして、ああして・・・。そういうことをいつも考え、口に出していました。その姿を隣で見てわたしは、あぁなんて心配性な人なの!そんなことは起こるわけないし、そんな心配するよりも、今が大事なのよ。目の前で起こっていることを見ましょう!そう言っていました。  

そして起こったプリンセス・ダイアナの死。 

彼は激しく動揺しました。その後、自分を責めました。気を緩めていた。浮かれていた・・・そして「最悪の状態」を想像し始めました。自分がNYにいない理由を会社の人が知ることになる。週刊誌がそれを面白おかしく書き立てる。職を失う。家族を失う。そしてわたしをも失う・・・。 

彼は、散々、「最悪の状況」を想像した後、徐々に冷静さを取り戻し、着々と「アクシデント」の後片付けを行いました。それは一晩中つづきました。

結果的に、彼が想像した「最悪の状況」はひとつも起こりませんでした。今も、彼は同じ会社で働いています。ずいぶんと出世もしました。家族も幸せです。わたしとの関係も、形は変わりましたが、続いています。 

今日、わたしが思ったのは、「アクシデント」は、「アクシデント」ゆえ、避けられません。ただ淡々と、その対処をするだけしか、わたしたちにできることはありません。その最中、想像した「最悪の状況」、いろいろ考えましたけど、ひとしきり想像した後、スッと安心しました。今日、わたしたちが想像することができた「最悪の事態」というものは起こらないという、確信に近いものを感じました。これからは、想定内のことが起こるだけです。そして着々と後片付けをして、また日常へと戻っていくのです。

 So, don't you worry. It's gonna be alright.

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