Wednesday, November 21, 2012

Stalking or What?


もうすぐ結婚する年下の某Hさんの10月24日のTwitter投稿です。

(昔は、相互フォローでしたが)今わたしは、Twitterをやっていないので、時々コッソリ覗いています。  ストーカー的ですね。

ちょっと泣いちゃいましたよ。

***


むかーしむかし、沖縄のある島の話。 夕日がとても綺麗な島でした。 その島に汚い格好をした、おじいさんがやってきました。 ヒゲはボーボーで、服はボロボロでした。 おじいさんは、絵を描くのが好きでした。 島の綺麗な景色を絵に描くのが大好きだったのです。

さて、この島には秘密がありました。 秘密のお祭りがあったのです。 秘密なので、外から来たおじいさんは見られません。 「お祭りを見たい!お願いします!見せてください!」 おじいさんは、島の人々に何回も何回もお願いしました。

「よし、わかった。見てもいいぞ。だけど、約束を守ってくれ」 「はい、お祭りが見られるなら、なんでも約束を守ります!」 「カメラで写真を撮らないでくれ。ビデオも撮らないでくれ。守れるか?」 「はい、守ります!」 こうして、おじいさんはお祭りを見られることになりました。

お祭りの日になりました。 おじいさんは、お祭りが始まるのを今か今かと待っていました。 おじいさんは、お祭りの場所から少し離れたところで座って待っていました。 そこには 「写真もビデオも撮っちゃダメ!」 と書かれた紙が貼ってありました。

ずんどこずんどこ お祭りが始まりました。 ずんどこずんどこ 子ども達が太鼓を叩いていました。 地の底から響くような低い音がします。 ずんどこずんどこ 海から何か出てきました。 ずんどこずんどこ 綺麗な綺麗な服を着た、神様役の大人が砂浜に上がって来たのです。

神様役の大人は、踊りながら幸せを祈っていました。 子ども達は、神様を守りながら、太鼓を叩いていました。 「なんて美しい光景なんだ…」 おじいさんは感動しました。 この感動を残したい。 おじいさんは考えました。 「写真もダメ。ビデオもダメ。だけど絵はダメって言われてないぞ」

そう思った瞬間、おじいさんは絵を描き始めました。 美しいお祭りの光景を逃さないように、夢中で急いで描きました。 スケッチブックに5枚、6枚と描いていきました。 7枚目になったところで、太鼓を叩いていた子どもが1人でこちらに歩いて来ました。 そしておじいさんに言ったのです。

「それダメなんです」 おじいさんは、とても大きな声で 「ごめんなさい!」 と謝りました。 絵に描いて残すことが、お祭りを穢してしまったと思ったからです。 だから、何回も謝りました。 島の大人から、何かに記録している人がいたら声をかけるように、子どもは言われていたのでしょう。

子どもは 「それ、ダメなんです」 ともう一度言いながら、おじいさんのスケッチブックを取りました。 パラパラ開きながら、バリバリバリ!!と破き始めました。 5枚、6枚、7枚と破きました。 破いた紙をしまって、子どもはおじいさんにスケッチブックを返して、おまつりに戻って行きました。

おじいさんは 「ぼくはなんて悪いことをしてしまったんだろう。 あの子どもが怒るのも当然だ」 と悔やみながら、自分の家に帰りました。 家に帰っておじいさんはこう思いました。

「ぼくは悪いことをしてしまった。 でも、なんて美しいお祭りだったのだろう。 やっぱり絵に描きたい。 今ならまだ覚えているから、描けるかもしれない!」 急いでスケッチブックを開きました。

するとどうでしょう。 おじいさんが描いた絵が、あるではありませんか。 5枚、6枚とめくって7枚目の描き途中の絵も残っていたのです。 そして、その後ろの7枚の、何も書いていない白紙が破られていたのです。 おじいさんはとてもびっくりしました。

あのとき、あの子どもが破ったのは白紙だったのです。 島のことを守りたい大人の意見、絵に残したいおじいさんの気持ち、異なる立場を理解して、かつ、両方をたてる行動を、あの子どもはとったのです。 おじいさんはとても感動しました。

見てきたお祭り、子どもが残してくれた絵を元に、おじいさんは絵本を作りました。 おじいさんは実は「田島征彦」という絵本作家だったのです。 原風景の体験から出来た絵本のひとつが「じごくのそうべえ」なんだよ、というのはまた別のお話。 さあ、そろそろ寝ましょう。 おやすみなさい。

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