Saturday, July 29, 2006

HOME SWEET HOME

入院している祖母のお見舞いのため、久しぶりに実家へ帰った。
3年ぶりくらいに会った祖母は、思ったより元気そうだったが、
末期がんの痛みのせいで、時折とてもつらそうな表情をした。
気分転換がしたいというので、車椅子に乗せて、病院の中を散歩した。
ほんの数分、病院の玄関の外にも連れ出し、午後の日差しと温風を肌に感じてもらった。
茨城の風は南国・宮崎の風とは全く違う。
でも外気に触れた瞬間、少し明るい顔になった。
その直後、ちょっと寂しそうな顔になってしまったのはやはり、
慣れ親しんだ土地から遠く離れてしまったという感覚からだったのか?

祖父の死後、約20年くらいずっと1人で生活してきた祖母。
ここ数ヶ月、思うようにならない体を抱え、不安な気持ちで過ごしていたに違いない。
いつの日か突然倒れて動けなくなってしまうかもしれない、
誰にも気づいてもらえないまま死んでしまうのかもしれない、という不安。
「ここに来れて本当に良かったとよ」という祖母。
子供たち・孫たちが近くにいる、という安心感はきっとあるだろう。
でも祖母にとってのHOMEとは?
私たちの住む関東なのか、それとも思い出の詰まった宮崎なのだろうか?

お見舞いの後、家族で食事に出かけた。
相変わらず頑固でいつになってもオトナになれない父。
それにあきれながらも静かに寄り添う母。
父を1人の人間として受け入れられない弟。
そんな家族を理解しようとして神経をすり減らせてしまう優しすぎる妹。
そして、家族を少し離れた視線で眺めるずるい私。
好き勝手な話題が飛び交い、一見ばらばらな私たち家族だが、
それでも一緒にいると満たされる。

そういえば、私たち家族はいつも本音でぶつかりあう。
時には傷つけあうこともあり、時にはあきれることもあり、
時には泣けてしまうこともあり、時には血が沸騰するくらい怒り、
時にはお腹が痛くなるくらい大笑いもする。
私にとってのHOMEは、NYでもなく、ここ世田谷でもなく、
やっぱり家族のいる場所だと、帰省するたびにリマインドされる。

痛みをとるため、強い薬が投入される日も近い祖母。
そうなれば意識は朦朧としてきてしまうだろう。
その前に、祖母にとってもHOMEとは?それを聞いてみたい。
そして、HOMEで最期を迎えられるようにしてあげたい。
人は、1人で生まれ1人で死んでいくが、その場所はかならず、
HOMEでなければならないと、強く思う。

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