Monday, October 22, 2012

Alone

    

今夜の帰り道のことです。

優先席に男性が座っていました。彼の足元には盲導犬がお行儀よくお座りをしていました。

数駅先でわたしが降りると、彼と盲導犬も降りました。 多くの人たちがわたしを、そして彼と盲導犬を追い抜いていきました。早足でホームを歩き改札をすり抜けていきました。 

階段を降り、改札を出て、踏切で止まると、わたしのすぐ横で、彼と盲導犬が止まりました。 踏切が上がり、人々が歩き出すと、わたしも彼も盲導犬も歩きだしました。 

ちょうどその時、iPhoneの音楽が、チャカ・カーンの「Through the Fire」に変わりました。 その瞬間、なぜだかものすごく切なくなってしまって、涙がこみあげてきました。

二差路にさしかかり、彼は右へ、わたしは左へ。

泣いてるのを見られたくない思いと、コンビニで夕飯を買いたい思いとを天秤にかけ、そのまま真っすぐ行けば家にたどりつくのですが、コンビニに寄って行くことにしました。右折し、しばらく歩くと、彼と盲導犬に再会しました。 その瞬間、またドバっと涙が溢れてきました。

彼と盲導犬はわたしのすぐ先を行き、わたしはその姿を追いました。そしてその間、ずっと涙がこぼれ続けました。そして、彼と盲導犬は、コンビニの手前のマンションへ消えていきました。 マンションのドアを開けるとき、彼は小さな声で盲導犬に何か話しかけていました。

なんでわたしは泣いてしまったんだろう?

彼と盲導犬を見て、「目が見えなくてかわいそう」なんてこれっぽっちも思いませんでした。 だって、彼らの足取りはとても軽く、わたしよりもずっと速いペースで歩いていましたから。

じゃあ、なんで?

 実家の父と父の愛犬のことを思い出したから?  「肌色」のリラのことを思い出したから?

いいえ、たぶん、彼と盲導犬の寄り添う姿を見て、うらやましいと思ったんだと思います。

わたしの横には誰もいません。 わたしの帰りを待つ人はいません。  もちろん両親も兄弟も健在ですけど、今この瞬間、わたしの側には誰もいません。某Facebook上の友達もいるけど、彼らとわたしのつながりなんて、ネットワーク上のものです。上司や同僚たちとは毎日会うけど、彼らには彼らの家族がいて、わたしの存在は、わたしがオフィスにいるときだけしか見えないものです。買い物にいったり、髪を染めたりすれば、店員さんたちが優しくしてくれるけど、それはわたしがサービスに対してお金を払っているからで、それをしなければわたしになんて優しくしてくれるわけもありません。わたしは五体満足で、生活に全く不自由はしていないけど、とても孤独です。

でも、それでいいんです。それがわたしの選んだ人生なのですから。ただ、独りぼっちで悲しくなったと、今日は書き残しておきたいなあと思っただけです。

No comments: