祝日の午前11時半、渋谷駅でのこと。
「あの、JR乗り場はどっちですか?」
声をかけてきたのは、50代後半の男性。茶色の革のブルゾン、青いジーパン、グレーのタートルネックにグレーのハンチング帽子というルックス。
「ずっと上がっていったらありますよ」
私がそう言って、トイレに向かおうと歩きだした直後、男性は私の前に回り込んで続けた。
「あの、怒らないできいてください。 私、熊本から単身赴任で最近越してきて、もしよかったらお友達になってもらえないかなと思って。 月に1回デートしてくれるだけで、20万お小遣いあげますから。 今夜空いてませんか? 今夜20万持ってきますから。 あなたみたいな人、タイプなんです。 お願いします。」
男性のまわりには、デスパレートな重いオーラが漂っていて、それはジリジリと迫って、今にも私の身体にのしかかろうとしている。
「すみません、私、そういうんじゃないんで。」
投げつけるように、ふりはらうように、そう言い残して私は、その場を走りさった。
そして私の頭の中には、たくさんの「なぜ?」が、今もぐるぐる渦巻いている。 その中でも一番大きなとぐろは、「なんで20万なんだろ?」
私とのデート1回が20万だなんて、馬鹿にしてる! 私を誰だと思ってるのよ! ふんっ (怒)
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