わたしの左がわ
同僚たちとの飲み会でのこと。
個室にとおされ、大きなテーブルを目の前に、私たちはしばし、席順に悩んだ。
アヤコ、真ん中にいきなよ、お誕生日席、スキでしょう、スポットライトも当たってるよ。 みんながそうやって、私をテーブルの中央に座らせようとする。
イヤ、イヤ、私はここがいいの。 私はこの、一番端の席に座りたいの。 だって、心理学的に言うとね、誰かが私の左がわに座ると、私はその人にコントロールされやすくなっちゃうの。
誰もそんな私の言い訳を聞いてくれようとしないし、今まさに、私の両側に男の人たちが座ろうとしてる。
イヤ、イヤ、だって、左がわに誰かが座ると、タマシイが抜かれるって、おばあちゃんが言ってたんだもん、と苦し紛れなウソを言いながら、私は泣きそうになる。
ホントは違うの。 わたしの左がわは、大好きな彼が座る場所なの。 お箸を持つ手がぶつからないように、私が右がわ、彼が左がわ。 そういう風に決まってるの。
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