Sunday, October 01, 2006

別離(わかれ)の瞬間(とき)

人は恋をすると特別な脳内ケミカルが出て、まるで魔法にかかったかのように、世の中の全てが美しく見え、いつもと同じ景色が100万倍も美しく見えたりする。歩道の隅に咲く花、、胸いっぱいに吸い込んだ朝の空気のにおい、見上げた空に細く長く浮かぶ雲、希望の光で地球を照らす朝日、泣きたいくらいに切なく地平線に消えてゆく夕日・・・。

しかしそのケミカルが出ているのは長くて3ヶ月くらい。その後はまるで夢から覚めたかのように、いつもと同じ景色はいつもと同じように見える。素敵な王子様だと思っていた相手が、どこにでもいそうな、ただの男だったと気づき愕然とする。しかしだからといって人は別れたりはしない。実はこの魔法にかかっていた3ヶ月の間、愛し合う2人の間には「情」なるものが生まれている。それによって離れることは身を切られるように痛く感じ、別れられないようになっている、というのだ。


彼と出会ってからそろそろ3ヶ月、脳内ケミカルは消え去ってゆくころ。それでも相変わらず、私の目に映る彼は、素敵な王子様だ。と同時に、情も沸いてきていて、一緒にいることが自然で会えない日はなんだかとても不自然に感じている。それなのに今、なぜか私の中には、「別離」という言葉が浮かんでは消え、消えては浮かんでいる。大切に思っているからこそ、身をひかなくてはならない、一番失くしたくない人だからこそ、手放さなくてはならない、愛しているからこそ、別れを決断しなくてはならない、そんな想いに駆られ苦しんでいる。一緒にいたい、でも一緒にいたらお互いにつらくなる、終わりにしたほうがいい、でも離れたくない。そんな矛盾する想いを消化しきれないココロとカラダは、痛みを叫んでる。

窓を開け外気を入れる。棚のほこりを払い床を水拭きする。髪を洗い、化粧をし、深呼吸をひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ。それでも止まない痛みを和らげるため、アスピリンとマイナートランキライザーをミックスして飲む。今日から暦は新しくなり、神無月。神様はどこで何をしているの?一番支えてほしいときに、さては全員で旅行中??

愛してる、愛してた、これからもずっと愛してる。
だからこそ、別離(わかれ)の瞬間(とき)を決断するのは、私。

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