Monday, July 17, 2006

九州のおばあちゃん

父の母親、私たちにとっては「九州のおばあちゃん」、は今年90歳になった。「九州のおじいちゃん」が1885年に亡くなってから、ずっと1人で生活している。

おばあちゃんの家は木造平屋。台風がきたら吹き飛ばされそうなくらい、老朽化が進んでいるので、父や父の弟が帰省するたびに、ちょこちょこ修復したり、文明の利器を加えてきたりしている。でもおばあちゃんは、あまり手を加えてほしくないらしい。昔のまま、おじいちゃんがいたころのまま、使い勝手のよいまま、にしておいてほしいらしい。

おばあちゃんの家には冷暖房がないので、夏はじっとしていても汗が流れてくるし、冬はじっとしていたら体中の震えが止まらない。あちこちの隙間からは、夏は熱風(&虫)、冬は冷気が入り込む。土間から1段上がったところにある台所には、いつも小さな蟻の行列があって、その行き先は食器棚の中の砂糖瓶だ。お風呂は釜炊きで、その温度調節はおばあちゃんにしかできない。そのお風呂の洗い場には、時折沢蟹が遊びにきたりする。髪の毛を洗い終わって目を開けると、すぐ近くに蟹が寄ってきていて、びっくりしたりする。トイレはもちろん、汲み取り式で、換気窓が上下に1つずつある。その昔、下の換気窓から蛇が進入してきたときは、大騒ぎをしたっけ。

おばあちゃんは料理上手だ。特に父や私たちの大好物は、巻き寿司とすき焼きだ。誰かが帰省するとなると必ず巻き寿司を用意して待っていてくれる。かんぴょう、玉子焼き、きゅうり、さくらでんぶしか入っていない巻き寿司だが、とにかく旨い。私も何度か同じ材料で作ってみたが、おばあちゃんの味にはどうしてもならない。

そんな自活・自立していて格好いい九州のおばあちゃんだが、最近体調がすぐれないらしい。
ということで急遽、来週から夏が終わるまで、茨城に住む父・母と一緒に生活することになった。
九州のおばあちゃんが、茨城に来るのは、20年ぶり。九州のおじいちゃんが亡くなったとき、お位牌を持って上京して以来だ。

というわけで、「週末には必ず帰ってこい」と父から連絡があった。そんなこと言われなくたって帰りますよ!

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