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フランスからエアメールが届いた。
差出人の名前を見てすぐにMのお母さんだと分かった。
封を開けると手書きのフランス語の手紙と2枚の写真が出てきた。
1枚目の写真はMと生後まもない彼女の赤ちゃん、
2枚目の写真は5歳になった子供のものだった。
フランス語をしっかり勉強しなかったことが悔やまれる。
「フランス語で書くことをお許しください」から始まっている
その手紙の内容がぼんやりしかわからない。
「わたしはMの母です。
Mが2004年にマドリッドで亡くなったことをお伝えします・・・
Mはスペイン人のJLと結婚して、スペインのテロ事件の8ヶ月前に、
Iを産みました・・・Iは父親と一緒に住んでいます・・・
あんなひどい事件が起きるなんて。
そしてその事件に巻き込まれて命を落とすなんて・・・
MはコロラドのT短大でたくさんの良い思い出ができたと、
日本人の友達がたくさんできたと、言っていました。」
「Mと孫Iの写真と、5歳になったIの写真を同封します。」
Mが娘Iを抱いている顔はとても自慢げで、勝気なMらしいなと思った。
そして5歳のIはとても美しくしく大人びた表情をしている。
Mはわたしのイメージどおりのフランス人女性だった。
彼女がタバコを取り出せば、
フランス人、日本人、アメリカ人、メキシコ人たちが、
即座にライターを取り出して、火をつけた。
まだ19歳くらいだったというのに、
彼女はまったく男性たちに媚びることなく、
凛としていた。
Iは母Mの遺伝子を受け継いでいるだろうから、
きっと素晴らしく魅力的な女性になるだろうし、
世の中の男性たちは彼女の小悪魔的な
「je ne sais pas」にきっと振り回されることになるだろう。
(良い意味で!)
May M rest in peace and love.
そして、世界中の人たちがもっとお互いの相違をリスペクトして、
原点にかえって、共通点を見出して、
愛し合い、許しあい、平安にたどりつき、
争うことなく平和に共存することができますように。
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