Seven Forty Five To Nine Forty Five on April 5, 2009
何度も何度も夜中に目が覚めた。 時にものすごく怖い夢を見ていたわたしは、 「あーっ!」っていう自分の叫び声で目が覚めたりもして、 でも横をみたら、お人形がスヤスヤ寝ていて、その顔を見たら、ものすごく安心して、 ゴソゴソとお人形の布団の中に手を入れて、お人形の手にわたしの手を重ねた。
7時45分に旧式の電話の音が鳴って、お人形がモソモソと起き上がった。 「あと15分で朝食だって」 ああ! どうして!! 朝日の中でまどろみたいのに!! いつも慌しい朝だから、せっかくゆっくりできる朝くらいはダラダラしたいのに!! わたしがグズグズしていると、お人形はスクっと起き上がって、窓をあけてタバコをすい始めて、 早く起きなさいっていう顔でわたしを見た。
仕方なく、モソモソと起き上がり、「ねー、朝食、何が出てくると思う?」っていうと、 お人形は、「えーと・・・焼き魚・・・」って言って、わたしたちは、焼き海苔でしょー、 温泉卵でしょー、納豆でしょー、玉子焼きでしょー、煮物あるかなー、ご飯かなおかゆかなーって、 もうすぐ運ばれてくる朝食を想像して、そしたらむしょうにお腹が空いてきてしまって、 まだかな、まだかなって、ダラダラしていたいと思っていた気持ちが拭きとんだ。
朝食が運ばれてきて、「昨日、あんなに食べたのになー」ってお人形が言って、わたしも、「ねー」って言って、 ふたりで仲良く朝ごはんを食べた。 「お人形? おかわりは?」って言ったら、「じゃあ、半分くらい」って言ってお茶碗を差し出した。 あー! わたしたち!! 夫婦みたいじゃないのーっ!!! ものすごく萌えてる心をおさえつつ、しずしずと、お人形のお茶碗にご飯をよそるわたし。
「海外とかいくとさ、おかゆでしょ? でも日本だとやっぱりご飯なんだよね。 でもお年寄りが多いのかな。 普通より柔らかめに炊いてあるよね」ってわたしが言うとお人形は、 「あー、そうだよな」って言いながら、黙々と食べ続けた。
焼き魚がものすごく好きなわたしは、ご飯とのバランスを考えながら、大切に大切に食べいたら、 お人形はとっくに食べ終わってしまって、なおかつ、焼き魚を半分くらい残していて、 わたしがそれをじっと見つめていたのに気づいて、「食べていいよ。 おかわり、しなよ」って言った。 あー! 嬉しい!! もちろんおかわり、するしー。
ご飯を食べ終わったらもう8時すぎ。 お人形は、「じゃー、温泉行くか」って言って、お人形は露天風呂へ、わたしは大浴場へと向かった。
チェックアウトは10時だから、からすの行水みたいな速さでわたしたちはお風呂から上がって、部屋へと戻ってきた。 引き戸を開け、お人形が先に部屋に入り、わたしがスリッパを脱ぐタイミングで、「鍵、かけろよ」って言って、わたしはお人形が考えてることがすぐに分かった。
部屋に入ると、お人形はわたしを抱き寄せて、キスをした。 そして、わたしは、「あー、やっぱりね」って思った。
彼はわたしを四つんばいにさせて、浴衣を腰まで捲り上げて、ちゃぶ台の上に押し付けた。 障子から差し込む朝日の中、わたしは息づかいを押し殺して、彼にされるがままになった。 ちゃぶ台のきしむ音が響く。 彼の体温が伝わってくる。 廊下から聞こえてくる仲居さんの声が遠くに聞こえる。 わたしは現実と夢の中をいったりきたりした。
そして数十分後、わたしは畳の上に、ぼろ雑巾のように投げ捨てられた。 はだけた浴衣をなおすこともせず、そのまま横たわるわたし。 窓際でタバコを吸うお人形に、「渡辺なんとかの、官能小説みたいね」って嫌味っぽく言うと、「えーと・・・」って困った顔でお人形が笑った。 そんな姿を見つめながらわたしは、畳の青い匂いを深呼吸して、多幸感に包まれれていた。
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