Monday, March 05, 2007

My Dentist Appointment 3

「今日は麻酔をして治療をしていきます」
イケメン先生は優しい笑顔をたたえながら
私の目を見て語りかけ、静かにシートを倒す。

「少しチクっとしますよ」
そう言って先生は麻酔の入った注射針を近づけた。
針が歯肉に触れたのは分かった。
でもその後、通常あるだろう、チクっとする感覚や
麻酔液が注入される時の押し込む感覚がない。
先生の手が角度を変え、私の口内をいじる。
あぁ、先生は麻酔を打つのがとても上手。
どんどん、打ってください、先生。
前回、麻酔を打った際に、ショックを起こした記憶は
すっかり消えてしまった。
麻酔液がチュル、チュルと入っていくごとに
私の左上の口びる、歯肉、歯の感覚がなくなっていく。
そしてそれと同時に、私の心拍数も下がり、
頭がぼんやり、時間の流れが少し遅くなった。
麻酔を打ち終わると先生はしばらく私をそのまま放置した。
ショックが起きないようにしばらく安静にさせようということなのか、
それともただ隣の患者が先生を指名したのか?
どちらにしても、私は麻酔の影響下、独り、
ぼんやりと過ごす時間を与えられた。

そして数分後、先生が戻ってきた。
「削っていきますね。痛かったら必ず言ってくださいね」
先生は相変わらずの笑顔で優しく説明した後、
またもや静かにシートを倒した。
それからしばらくの間、先生はドリルを使って
私の歯をいじくりまわした。
痛みは一切ないのだが、麻酔が効いているせいで、
口にしまりがない。
口内に溜まる唾液はバキュームで吸ってくれているのだが、
先生の手を伝って口の横から垂れてしまう。
あぁ、恥ずかしい。
唾液を垂らしている顔を先生に見られてしまっている。
治療の怖さよりも、唾液を垂らし続ける恥ずかしさのほうが
耐え難い。

あぁ、これでもう終わり、と思った瞬間、
「今日、お時間ありますか?」と先生。
何も分からず、思わず、「はい」と答える私に、
「せっかくなので、隣の歯も同時に治療してしまいましょう。
そのほうが綺麗に仕上がりますよ」と先生は言う。
あぁ、また唾液を垂らしてしまう。
そして治療中、約20分もの間、大きく開けた口の右横から
絶えず唾液を垂らし続ける私。

治療が終わってからそろそろ1時間が経つというのに
まだ麻酔が解けない。
そして先生の前で晒してしまった醜態と羞恥心も
まだ鮮明に残っている。
痺れたままの唇から一生懸命赤ワインを啜っていても
時々唇の横から漏れてしまう私。
あぁ、先生にこんなところを見られたらどうしよう。

No comments: