Saturday, January 27, 2007

Today's Book - 差し押さえは白い花びら by 長嶺ヤス子

昨夜、偶然(=必然:宇宙の大きな計画によって)、舞踏家・長嶺ヤス子さんに出会った。

その瞬間、彼女がドアの向こうから現れ、席に着くまでのほんの数秒の間、私の目は彼女に釘付けになってしまった。彼女が放つエネルギーは、今までみたどんな人のものとも違っていた。まだ彼女は一言も発していないというのに、今まで信じてきたこと、それは例えば経験を通して培った価値観など、が激しく揺さぶられたような感覚に陥ってしまった。彼女は、穏やかな微笑みを、私や周囲の人間たちに送ると、静かに着席し、目の前に差し出された温かいお茶を口にし、ビロードのような声で話し始めた。その瞬間、映画の1シーンの撮影が終わった瞬間の「はい、OK!」という監督の声を聞いたみたいに、ドリームランドからリアルワールドへ引き戻された。そして、我を忘れるほど彼女に惹きつけられた数秒間を忘れ、そんな彼女がその空間に共存していることに慣れ、平常心を取り戻した。

舞踏家・長嶺ヤス子さんは、1936年会津若松に生まれ、今年71歳を迎える。そんな彼女が昨年11月に出版した「差し押さえは白い花びら」には、私が昨夜触れてしまった彼女の「特異なエネルギー」がぎっしり詰まっている。あとがきの中で彼女は、この本が生まれることになった理由をこう表現している。

「・・・脇目もふらずにただただ自分の思うままに、また自分の与えられた人生を素直に受けとめて生きてきましたが、苦しいこと悲しいことがたくさんあって、何かが体中にいっぱいたまってしまったのです。」 

彼女の「体中にいっぱいたまってしまった」その何かとは、「愛」なのではないだろうか?彼女の「愛」は、もうその体に留めきれないほど大きくなってしまった。誰かに、注ぎたい、どこかに、届けたい。彼女のその想いは、文中の一語一句にしっかりと込められている。だからきっと、ページを開き、彼女の表現に触れた瞬間、読者は彼女の大きな「愛」に包まれるように感じるのかもしれない。




長嶺ヤス子オフィシャルページ


Special thanks to: 「きく乃」ママ、長嶺嶺ヤス子さんを紹介してくださって、彼女の本をプレゼントしてくださって、ありがとうございました。

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